材配置も含めた、関係機関との連携・協働のコーディネート体制構築の必要性が指摘されています。 また、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議においても、探究・STEAM教育を推進していくため、「学びの設計・コーディネートや、大学や企業等との連携をコーディネートできる人材が高校に常時いる状況」が提案されています。こうした予算措置も含めて検討されている国の施策も後押しし、今後、全国的に高校へのコーディネーター配置が進んでいきそうです。―教員でも事務員でもないコーディネーターが学校内に入ることに、先生方には戸惑いもあるのでは? 私もコーディネーターになった当初は、先生方から「何をする人?」という疑問の目を向けられたものです(笑)。そこで、まずは総合的な学習の時間などを一緒に運営するなかで、地域と連携してどん5カ月間、公立中学校で産休代替の教員を務めたのですが、授業の準備から実施、部活動の指導、保護者対応…と想像以上に多忙な日々。コーディネート機能をもつ教員になりたくて手を挙げたのに、とてもそれどころではありませんでした。 例えば島根県では、各校にコーディネート機能を担う主幹教諭を加配し、同時に教員とは別に市町村等がコーディネーターの配置も行っています。コーディネーターの導入状況は都道府県によって異なりますが、島根県では2012年ごろから地域おこし協力隊制度も活用して県立高校への「高校魅力化コーディネーター」の配置が進められ、その数は約60人(21年5月)にまで増えました。 国の動きを見ると、中央教育審議会の答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」(21年)では、高等教育機関や地域社会などの関係機関と連携・協働した高度な学びの提供に向け、人 地域・教育魅力化プラットフォームでは、社会に開かれた学校をつくるヒントをパターン・ランゲージとしてまとめました。これは、コーディネーターが大事にしていることや考え方など、実際の経験則を抽象化した、42の「ことば」で構成されたもの。「一人で解決しようとせず、自分をひらき、解決できる人をつなぐ」「相手そのものをリスペクトする」「まずは同じ体験をし、認識をそろえるところから」などの実践知は、先生方にも、社会と共に生徒を育てるヒントになると思います。ぜひ参考にしてみてください。 社会とのつながりをもつことは、先生方にとってもご自身を開いてアップデートさせるチャンスといえるかもしれません。〝学校の内と外〞と一線を引くのではなく、ぜひ生徒と一緒に楽しみながら取り組んでいただけたらと思います。な学びの場をどうつくろうとしているか、現場を見ていただきました。多くが教員以外の職業経験をもつコーディネーターの生徒への関わり方は、先生方の目に新鮮に映るようです。私もよく「生徒へのアドバイスの視点が教員とは全然違う」と言われました。また、探究的な授業での生徒の様子に触発されて、ご自身の授業方法をちょっと変えてみたり、生徒に預ける時間を増やしたり、自然に授業改善が進むこともあるようです。 先生方もコーディネーターも、生徒を成長させたいという思いは共通。その実現方法の幅を広げることが、コーディネーターの大事な役割だと思っています。―社会と共に生徒を育てていこうとする学校へ、コーディネーター経験から伝えたいことはありますか。「学校と地域をつなぐパターン・ランゲージ」のワークカード。チームでの振り返りや研修などに活用できる。Webサイトから詳細情報の入手が可能。 https://cn-miryokuka.jp/338/文部科学省 2019年度「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」「高校と地域をつなぐ人材の在り方に関する研究会」報告書より生徒と共に、先生方も変化を楽しんで!高校と地域をつなぐコーディネート機能の位置づけ高校におけるコーディネート機能● 地域社会と関わる教育課程の 企画・運営・支援● 地域側との連絡調整・情報提供● 学校への地域資源の活用● 地域系部活動等の教育課程外の 地域探究や活動の支援● 地域との連携・協働に係る研修の 企画・実施 など地域におけるコーディネート機能● 地域資源(人・もの・こと・課題等)の 掘り起し● 学校側との連絡調整・情報提供● 学校外での高校生を含む活動の 企画・支援● 地域留学等新しい人の流れをつくる 企画・調整(下宿等含む)● 卒業生とのつながり構築や 活動支援 など協働体制におけるコーディネート機能● 組織体制の構築・運営(ビジョン・ 計画づくり、事業・会議の運営等)● 外部資源獲得(ふるさと納税、寄附等)● 大学・民間企業等との連携・協働 など図192022 FEB. Vol.441社会と共に生徒を育てる現場の声から考える 高校はどう社会と共に歩むか
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