キャリアガイダンスVol.441
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 1933(昭和8)年、日本で軍国主義の風潮が強まる時代に、「個性と自由を尊重する教育」を望む保護者と教職員の協力によって、湘南学園は創立された。その経緯から同校は、創立当初から保護者と共に学校を運営する「PT共同経営」を特徴としている。理事会は保護者と教職員の合議制からなり、PTAが日頃から学校活動のさまざまな場面を支援する文化が88年たった今も息づいている。 湘南学園中学校高校の教育目標は建学の精神でもある「社会の進歩に貢献できる、明朗有為な実力のある人間の育成」。「社会の進歩に貢献できる人材を育成するためには、学校内に教育を閉じていては成り立ちません。教育目標を具体化するために、本校では『湘南学園ESD』(下図)を設定し、〝持続可能な社会の担い手〞を育てることにつながるすべての教育活動をこれに位置づけています」(伊藤眞哉校長) 湘南学園ESDでの多方面の学びを実現するために、多様な社会に開く取組が行われている。PTAはもとより、卒業生や卒業生の保護者(後援会)、PTAから派生したNPOが学校活動を支援するケース、逆に生徒たちが外に出て学校関係者以外の近隣地域や離れた地域の人々と連携して学びのフィールドを広げているプロジェクトの事例を以下でご紹介する。 湘南学園のPTAは学年ごとに分かれておらず、幼稚園から高校までのPTAがチームとして活動し、さらに学校と一体となったコミュニティを形成。ここでは実際に、高校がどんな課題感からどこと連携し、どのようなプロセスで生徒を共に育てているのか実践例をご紹介します。そこで生徒たちにはどんな成長があり、学校と先生方にも何か変化があったのか。連携先の思いや先生方の葛藤も含め、三校三様の取組に迫ります。 創立以来の一貫した教職員と保護者の共同運営で社会の進歩に貢献できる生徒を育成「PT共同経営」の文化が学校活動の随所に表れるPTAから成るNPOが学校のカフェテリアを運営社会と共に生徒を育てる高校事例PTAと共に学校風土をつくるPTA・NPO・クラウドファンディング湘南学園中学校高校(神奈川・私立)取材・文/長島佳子離れた地域の人々(総合学習のフィールドワーク・研修旅行など)湘南学園(幼稚園・小学校・中学校高校)PTAから派生したNPO食育・カフェテリア運営などPTA日常的な支援卒業生キャリアデザイン支援など後援会日常的な支援保護者と教職員の協力によって設立された「PT共同経営」の学校図:湘南学園における社会との連携のイメージ多様な社会との関わりが「湘南学園ESD」の基盤となっている学校関係者も含めた地域全体総合学習グローバルな学び協働を学ぶ自治活動キャリアデザイン食育教科教育1833年創立/普通科/生徒数538名(男子310名、女子228名)、保護者と教職員が協力しながら理事会の法人運営を行い、PTA、同窓会、後援会、NPOなどのパートナーと共に「チーム湘南学園」として生徒を育成している。学校データ202022 FEB. Vol.441

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