キャリアガイダンスVol.441
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事なもので、体にいい食事を選べる大人に育ってほしいという保護者ならではの強い願いに学校も賛同し採択、現在に至るまで運営を行っている。 食育は湘南学園ESDの一つの柱でもあり、食事を提供するだけでなく、食に関する教育の推進事業も担当。食材の栄養に関するポスターの掲示や、食育講習を開催している。また湘南食育ラボの管理栄養士や調理師が家庭科の授業も支援。調理実習に協力したり、「栄養の四群」「郷土料理」「世界の料理」などをテーマに生徒たちが調べ学習を行ってメニューを企画し、選ばれたメニューをカフェテリアで実際に作って生徒に提供するなどしている。 同校では30年以上前から教科外学習として社会課題をテーマにした体験学習を実施してきた。それまでは観光授業とは異なる角度で学びの面白さを伝える「てらこや」など、さまざまなサポート事業を行っている。 その代表的な取組の一つが、創立80周年事業として2013年に作られたカフェテリアの運営だ。カフェテリア建設時に運営する業者を募った際、学生食堂運営の専門企業と並んでPTAメンバーが立ち上げたNPO法人「湘南食育ラボ」が名乗りを上げた。 「自分たちの子どもには安心安全な物を食べさせたいという思いから、〝地域に根差した生産者が育てた安全な食材〞を使い〝素材を活かしたメニュー作り〞をし〝広く食育の文化を広げていく〞ことを目標に掲げました。東日本大震災の際に学校が避難所になったときに、我々PTAが炊き出しを行った経験から、『自分たちにもできる』という自信があったのです」(湘南食育ラボ 原田ゆう子理事長) 食事は生きていくために根源的に大色が強かった高校2年の研修旅行を、フィールドワークをする場に変更し、テーマをもって観光地とは異なるさまざまな地域を訪れるようになった。例えば初年度の1990年には原発のある町を訪れ、現地の人々が抱える課題について生の声を聞き、原発の賛否両論を考えた。 「当時私は教員3年目の若手でしたが、教科書では得られないリアルな学びを体験することで、日頃の教科学習には苦手意識をもつ生徒が、課題に真摯に向き合い、自分の意見を述べていたのです。その姿を目の当たりにしたことで、社会の中での学びの有効性を実感しました」(伊藤校長) 以来、中高6年間で取り組む総合学習として、フィールドワークの場を地域から、地域圏外、世界へと広げながら、学年に応じたカリキュラムが実践され、湘南学園ESDの軸と位置づけられている。 前述の総合学習とは別に、生徒主体によるPBLが多数実践されているのも同校独特の取組だ。授業でも部活動でもない課題解決型学習を、生徒が自由に行える場として設定している。興味のある社会課題を見つけた生徒が解決策を企画して手を挙げ、進行を後押しする担当教員がつけばプロジェクト成立という、あくまで生徒主体の活動だ。自由なチーム制のため複数のプロジェクトに参加することも可能としている。今までに20件以上のプロジェクトが動いているという。 「年度を越える継続が必須ではないにもかかわらず、後輩たちが引き継いで継続性をもったプロジェクトもあることが素晴らしいです。多様なプロジェクトの〝点〞がSDGsなどの概念で〝線〞になったときに学びが深まっているように感じます。また、単年度で『終える』ことや、進行が難しい場合に『やめる』と判断できることも学びになると感じています」(小林勇輔先生) 代表的なプロジェクトの一つが、PBLが始まった2016年から現在まで後輩に引き継がれて続けられている、福島の被災地支援として始まった「ふくしまとみんなをつなぐひまわりプロジェクト」だ。放射線による土壌汚染がPTAは幼小中高がチームとして学校と共にコミュニティをつくり、生徒が望む学びを後押しNPO法人湘南食育ラボ 理事長 原田ゆう子さん校長伊藤眞哉先生入試広報主任小林勇輔先生湘南食育ラボが運営する学園のカフェテリアでは、食材の旬や栄養素を学べるポスターなどが展示され、栄養に関する基礎知識や食の大切さを学べるようになっている。湘南食育ラボの管理栄養士が担当する家庭科の授業。栄養素について学んだ生徒たちが弁当を企画。選ばれたメニューはカフェテリアで実際に作られる。湘南食育ラボの活動学ぶフィールドは社会。リアルな課題と向き合う生徒主体で発案・実践する自由なPBLが多数稼働212022 FEB. Vol.441社会と共に生徒を育てる社会と共に生徒を育てる高校事例

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