キャリアガイダンスVol.441
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進路指導主事野口悠二先生 武南高校では、入学時の心のケアに重きを置いている。専願入学であっても併願入学であっても、高校という新たなステージにおいて気持ちを前向きに切り替えさせることを重視しているためだ。「『入試に失敗した』『行きたい高校に行けなかった』という認識で止まってしまっている生徒の気持ちを、『ここでがんばろう』に生徒自身が変えていけるよう支援することが大事」と野口悠二先生。新入生研修時など、折に触れて「学校生活における不安や悩みがあれば相談してほしい」と伝え、同時に高校での学習法や心構えも指導している。 そんな生徒たちを支えるべく、進路指導室や隣接する「ガイダンスルーム」において、進路に関するさまざまな相談や面談を行っている。進路指導室には豊富に資料が揃い、最新の入試情報が得られる。また、ガイダンスルームでは、進路に限らず学校生活や友人関係のことなど、どんなことでも相談できる。「長く主担当を務めてきた教員がカウンセリングの専門家でもあり、悩める生徒にとっては心の拠り所となっています。毎年、ガイダンスルームに通うなかで少しずつ表情が明るくなり、学校生活に馴染んでいく姿が見られます。生徒のカウンセリングに加え、保護者向けのガイダンスも開催し、子どもとの関わり方なども話してくれています。生徒の心理面のサポートや保護者対応などを一緒になって担ってもらえることは、担任を務める者にとっても大変心強いです。今後は体制が変わる可能性もありますが、学年ごとに役割を引き継ぐことを考えています」(野口先生) ガイダンスルームなどで個別にサポートしながら、全体の進路指導においても、生徒の気持ちを未来に向ける、生徒の気持ちに火をつける、という機会を設けてきた。1年次の進路学習のテーマは、「自己分析と文理選択」。総合的な探究の時間のな 「真に健全で個性豊かな人間教育の樹立」を建学の精神とし、1963年に開校。以来、文武を両立させて学び、行動することで豊かな創造力を育てる「文武創造」を目指してきた。実際、スポーツを中心に部活動が盛んで、特にサッカー部は全国大会で優勝経験もあるほどの強豪だ。また、建学の精神にもつながる合言葉「それぞれの個性・それぞれの青春」は、教員の間に浸透し、生徒一人ひとりの個性を尊重した教育を実践している。 進路指導においては、国公立大や難関私大を目指す生徒をはじめ多様な進路を希望する個々の生徒を尊重した指導を行ってきた。近年は専願での入学者が増えてきたものの、第1志望である公立高校の併願校として受験・入学してくる生徒も少なくない。こうした高校受験において苦い経験をもつ生徒に対して、「武南でがんばろう」という前向きな気持ちをいかにもたせるかが課題となっている。そうした背景もあり、武南高校では伝統的に生徒の心理面のサポートに注力し、カウンセリングと一体となった進路指導を行ってきた。また、卒業生や大学教員といった外部関係者の協力を得ながら、生徒の心に火をつけ、挑戦を後押しするための取組も進めている。武南中学校・高校(埼玉・私立)取材・文/笹原風花大学進学406人、短大進学9人、専門学校進学41人、就職3人、その他(受験準備など)53人国公立大学には17人が合格。特進コース、選抜コース、中高一貫コースにおいては約9割が一般選抜で国公立大学、難関私立大学を中心に受験。進学コースでは約4割が一般選抜、約6割が総合型選抜・学校推薦型選抜を受験。全コースで英単語の小テストを毎朝実施するなど、学習面の指導も充実している。1963年開校/普通科:特進コース、選抜コース、進学コース、中高一貫コース/生徒数512人(男子285人・女子227人)丁寧なカウンセリングにより入学時の敏感な心をケア何よりも生徒の心に響くのは社会で活躍する卒業生の話352022 FEB. Vol.441

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