【理事長・校長プロフィール】おおたけ・まさよし●1948年生まれ。資生堂美容学校(現資生堂美容技術専門学校)卒業後、資生堂入社。宣伝広告や世界各都市のコレクション活動に携わった後、資生堂ビューティークリエーション研究所所長、SABFA校長を歴任。2008年黄綬褒章を受章。2009年より現職。『飽くなき美の探求 マサ大竹自叙伝』ほか、著書多数。【専門学校プロフィール】1959年資生堂美容学校開校。1964年東京都板橋区に移転。1999年資生堂美容技術専門学校へ校名変更。高度で専門的なコース別美容教育の推進により質の高い即戦力となる人材を美容業界に輩出。美容師科(ヘアスタイリストコース、ビューティースペシャリストコース)、ビューティーコンサルタント科、美容師通信科。「美しく生きる」とは心のありよう。技術だけではなく感性や人間力も磨く̶変革に挑む̶まとめ/堀水潤一 撮影/竹田宗司小さいころから絵を描くことが好きで、美大進学も考えましたが、絵を生業としていけるだけの才能が自分にあるか、とても不安でした。そんなとき、東京で働く、当時は珍しかった男性美容師のコラム記事に魅かれ、本校に入学しました。私にとって絵を描くことは自分に向き合うことですが、美容はお客様にも向き合う仕事。自分の感性や表現力を活かしつつ、嬉しいときや悲しいとき、お客様のすべての場面に寄り添い、美を整えることで喜んでもいただける、そんな素晴らしい仕事があることを知りました。 本校では「真・善・美」を掲げ、〝「美しく生きる」をかなえよう。〞を教育理念としています。学生に「美しさとは?」性や創造力を磨いてほしいのです。 オンライン接客やサブスクリプションサービス等、美容業界、サロン業界は急速に変化しています。インスタグラムなどのSNSを使って集客し、面貸し(※)の美容室で活動する独立形態も増えてきました。そうしたなか本校が力を入れているのがデジタル教育です。化粧品等の紹介動画を学生が制作する授業や、美容に関するトレンド情報を定期的に発信する活動をしているチームもいます。10万人近いフォロワーをもつ卒業生を招き、SNSの活用法などを直接伝えてもらうこともしています。また、SDGsを授業に取り入れ、自ら考えて行動できる環境を整えています。 そうした卒業生との交流を進めるために発足したのが「椿庵」という校友会組織です。例えば「海外で学びたい、早く独立したい。けれども相談相手がいない」という学生がいたとして、一歩先を行く先輩のアドバイスによって夢が具体的になることもあるでしょう。学校がハブとなり、在校生と卒業生のつながりを増やすことで一人でも多くそして長く、この世界で活躍してほしい。一見、華やかに見えて、困難なこともあるのが美容の仕事です。失敗しても立ち直ればいい、という心の強さも身につけてほしいと思います。と聞くと、外見に関する答えが多く返ってきます。それも大切ですが、一番大事なのは心のありよう。だから、どんなに技術があっても、自分自身に人間的な魅力やおもてなしの心がなければ、お客様には届きませんよ、という話をしています。校歌の一節に「内にこころみがき、外には技わざ術を」とあるように、技術と共に内面を磨く。それで美は完成するのだと思います。 私自身、美の表現すなわちクリエイションの魔力に取り憑かれた人間ですが、そこで必要とされる感性は、才能以上に環境によるところが大きいことを実感しています。第一線で活躍するトップクリエイターによる授業を増やしているのもそのため。本物に接し、感学校法人資生堂学園資生堂美容技術専門学校理事長・校長大竹政義※フリーの美容師に場所と施設を提供し対価を得る運営形態。552022 FEB. Vol.441
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