キャリアガイダンスVol.441
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リクルートサービスを活用した実践事例【進路】 海外からの留学生も多く、2年次からは専門的な学びを行うグローバルスタディコース(文系・理系)が選択できる桜塚高校は、9割が進学し、9割が部活に参加している文武両道校。また、生徒、教員共に一人一台ノートPCを持って授業に取り組んでいるICT先進校でもある。 「文武両道校であるために先生たちは入試対策と部活に追われ、探究テーマを考えるのが難しい。それが、当校の課題でした。しかし2022年度からは、『総合的な探究の時間』が本格実施になります。そこで考えたのが、2019年度から探究学習の試行として始めたキャリア探究に、スタディサプリの『探究講座』と進路教材を加え、より良いものに発展させていくことです。今年度の1年生から実施したところ、『探究が楽しい』と生徒からも好評です」と、指導教諭の田上 浩先生。 1年生の探究テーマは、「理想のロールモデルを追究する」。ロールモデルを設定することで、その仕事に必要なスキルや経験が把握でき、高校時代に描いた通りにはならないこともわかるからだという。 「参考にしたのは、 〝個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される〞 というスタンフォード大学のクランボルツ教授が提唱した『計画的偶発性理論』です。将来を見通すことが困難な時代だからこそ、難関大合格だけにとらわれず、偶発をチャンスに変える好奇心や柔軟性、行動力を身につけ、どう生きるのかを考えてほしい」と田上先生。 具体的な授業内容は、1年生の進路担当と探究担当がペアになって考える。 「前半では、ロールモデル探究を通して自分に目を向けてもらう。後半は、ロールモデルとその仕事を通して社会に目を向ける。それぞれ文理選択も絡めたいと考えました」と、進路担当の荒本祐太先生。そのプランを、スタディサプリの「探究講座」を使って授業用のスライドに仕上げたのが、探究担当の井上幹太先生だ。 「『探究講座』のイラストやワークシートを利用できるので、50分の授業スライドも簡単に作れますし、生徒からもわかりやすい、楽しいと好評です。自分の好きや興味からロールモデルを設定し、『未来事典』で仕事を調べ、身近にいる気になる仕事をしている人、文系・理系出身の人を探して、職業選択や仕事のやりがいなどをインタビューすることで、生徒たちの視野がすごく広がりました。『親の学生時代の話が聞けて、新鮮だった』『文系に進んでも、文系の仕事をしなくてもいいことがわかりました』『自分の将来を考えるようになり、選択肢を増やして進路を調べるようになった』など、印象的な発表内容が多かったですね。自分たちでスライドを作り発表したことも、生徒にとって大きな自信になりました」と井上先生。2022年度から本格実施の「総合的な探究の時間」でキャリア探究を行いたい課題「探究講座」のツールに『未来事典』を加えてカスタマイズ活用創立1937年/普通科(男女)/生徒数1022人(男子404人、女子618人)進路状況(2021年3月実績)大学291人、短大2人、専門学校等31人、就職1人、その他23人取材・文/丸山佳子桜塚高校(大阪・府立)難関大合格だけでなく、「どう生きるのか」をキャリア探究を通して生徒に考えさせる 探究講座  未来事典【活用キーワード】5月~「探究講座」に用意されているワークシート、「興味・好きを探る20の質問シート」を活用して授業スタート。自分の興味・好きを知ったら、1年生前半の課題、自分の理想の人物(ロールモデル)探し。井上先生自作のスライドも組み込んでいる。自分の「好きなこと」「したいこと」にはどんな仕事があり、どんな仕事に適性があるのか、『未来事典』で気になった仕事を探す。「興味・好き」と「適性」を関連づけて気になる仕事を見つける。ちなみに「ウミウシ学者」は、井上先生がなりたかった仕事とか。6月~ 気になる仕事や業界で活躍している人はロールモデルになるかもしれないので、その人の経歴などを調べてみる。夏休み ロールモデルや身近にいる気になる仕事をしている文系・理系出身者に、どうしてその仕事を選んだのかインタビュー。9月~ インタビュー内容を個人で、さらにペアワークで整理・分析し、ノートPCを使って発表用スライドを作る。11月 生徒各自が設定したロールモデルと、調査・インタビューを通して得た進路意識を、クラスで発表して共有。3学期~ 同校は豊中市のSDGsパートナー。1年生後半の探究テーマ「ロールモデルが社会をどう変えるか」について考える。左は、「探究講座」の興味探究型アプローチの授業進行スライドを活用して、井上先生が今年の1年生のために制作したもの。「探究とは何か、どんな方法で行うのかなどの説明スライドが用意されているので、そのまま使えてとても便利でした」と井上先生。リクルートサービスの活用法●「探究講座」×『未来事典』右から進路指導部 1年担当荒本祐太先生(数学)指導教諭田上 浩先生(社会)1年探究担当井上幹太先生(理科)612022 FEB. Vol.441

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