キャリアガイダンスVol.442
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働き方改革やデジタル化などが進み、人々の価値観が多様化するなかで、働く現場は実際にどう変化しているのでしょうか。3つのテーマについて、最新データから読み解いていきます。「女性活躍推進」や「男女共同参画」が目指されるなか、実際に女性の働き方はどう変化しているか。女性の労働力率を年代別に見ると、結婚・出産期に当たる年代に落ち込むことを表す「M字カーブ」は、この40年間で大きく緩和している(図1)。現在、女性の育児休業取得率は8割超(*1)。結婚・出産を経ても働き続ける女性の増加が、M字緩和の一要因と考えられる。 また、努力次第で昇進も可能など、やりがいをもって働き続けられるかどうかも重要だ。管理職に就く女性は増加傾向にあり(*2)、なかでも注目は上場企業役員における女性の人数で、10年間で約5倍となった(図2)。ただし女性比率で見ればわずか7・5%。 「依然として男女差は大きく、諸外国と比べて遅れが目立つ。さらなる改善が求められる」と、孫さんは指摘する。 性別以外の多様性についても状況改善が見られる。60〜64歳の高齢者の就業率は71%まで上昇(*3)。障害者の雇用者数も、事業主に義務付けられる障害者の法定雇用率の段階的な引き上げなどに伴って年々上昇している(図3)。また、性的マイノリティに対しては、職場での配慮に前向きな企業が7割超という調査結果もある(図4)。「『誰もが活躍しやすくなった』という状況にはまだ到達していませんが、そこに向かって着実に動いていることは確か。生産性や競争力を高める経営戦略としても、多様な人材の登用は今後も進んでいくと期待されます」(孫さん)誰もが活躍しやすい社会に向かっている結婚・出産を経て働き続け昇進も実現させる女性が増加障害者などのマイノリティも働きやすい環境の整備進む〜歳〜歳〜歳〜歳〜歳〜歳〜歳〜歳〜歳〜歳〜歳〜歳【出典】 図1:総務省「労働力調査」/図2:東洋経済新報社「役員四季報」2021年版/図3:厚生労働省「令和2年 障害者雇用状況の集計結果」/図4:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「令和元年度 職場におけるダイバーシティ推進事業 報告書」(厚生労働省委託事業)*1:厚生労働省「雇用均等基本調査」/*2:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」/*3:総務省「労働力調査」(2020年)民間企業に雇用されている障害者数上場企業役員における女性の人数女性の年代別 労働力率※性的マイノリティが働きやすい職場環境を作るべきだと思うか(企業調査)そう思うどちらかといえばそう思うそん・あもん●リクルートワークス研究所研究員。博士(経済学)。2015年にリクルートワークス研究所に入所。全国約5万人を対象とした「全国就業実態パネル調査」の調査設計・運営を担当する。専門は労働経済学。【監修・解説】 孫 亜文※労働力率=15歳以上人口のうち労働力人口(就業者+完全失業者)の割合(万人)取材・文/藤崎雅子102022 APR. Vol.442

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