国を挙げた働き方改革で目指される、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を可能とする社会には、どれだけ近づいているだろうか。 経団連会員企業への調査によると、柔軟な働き方を推進している企業は約9割と、大多数を占める。その具体的な施策を見ると、「テレワーク」「時差出勤」「フレックスタイム制」の導入は7割を超える(図5)。出社せずに業務状況はどうか。統計によると、年間就業時間の平均と、週60時間以上働く人の割合は、ともに年々減少している(図6)。また、働く人への調査では「休暇を取得できている」が2018年の59・2%から2020年の64・1%へ上昇(*4)。ワークライフバランス向上がさまざまなデータに表れている。 現在、雇用者の4割近くを占めている、非正規雇用の動向にも目を向けてを遂行したり、働く人自身が労働時間帯を選択したりすることも可能になるなど、働くうえでの時間や場所の制約は緩和の方向にある。「こうした動きはコロナ対策を機に一気に加速しました。一時的な対応も見られますが、これを機に定着していく企業も多いと考えられます」(孫さん) では、健康被害や過労死にもつながると問題視されてきた、長時間労働のみたい。近年の非正規雇用者の人数は2000万人前後とほぼ横ばいの状況だが(*5)、「不本意」に非正規として雇用されている人の割合は減少している(図7)。「国が『同一労働同一賃金』を掲げて非正規雇用者の処遇改善を推進するなか、雇用形態にかかわらず能力を評価する機運が醸成され、非正規で働く人のモチベーション向上に影響している可能性もある」と孫さん。正社員であることにとらわれず、個々の事情に合う働き方を選択できる社会へ、さらなる改善が望まれる。テレワーク、フレックスタイム…企業は柔軟な働き方を推進長時間労働が緩和しワークライフバランスが向上待遇改善が課題の非正規雇用、〝不本意〞比率は減少ワークスタイルの自由度がアップ●推進している柔軟な働き方の施策内容(導入予定を含む)テレワーク制度時差出勤フレックスタイム制変形労働時間制事業場外みなし労働時間制専門業務型裁量労働制遠隔地勤務制度企画業務型裁量労働制ワ―ケーション制度高度プロフェッショナル制その他【出典】 図5:日本経済団体連合会「2021年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」/図6:総務省「労働力調査」/図7:総務省「労働力調査」*4:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査」/*5:総務省「労働力調査」非正規雇用者に占める不本意非正規の比率企業の柔軟な働き方の推進状況年間就業時間と週60時間以上働く雇用者の割合推進している112022 APR. Vol.442いま、「働く」をどう考えるか最新データから読み解く 「働く」の変化
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