キャリアガイダンスVol.442
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ません。働き方改革全般にいえますが、効率化はものすごく叫ぶのに、それによって生じた時間を何に活用するかというポジティブな議論になりづらいのが残念です。田中 ですね。働く理由を問うと「老後のため」と返ってくることがあります。それもわかりますが、より大事なのは目の前の時間。「今」この時に、自分は何をするべきか、教師ももっと自己選択してよいのではないでしょうか。荒れた学級に行くと、ルールで縛られてきた児童が多いんです。そこでまず、やりたいことを聞き、「いいね、やってみようか。何からやる?」と水を向けると一気に目が輝きます。子どもにとっても、教師にとっても、自己選択・自己決定が、自己肯定感を高めるというのは本当だと思います。清水 教育界には多くの壁やタブーや違和感がありますが、私なりに手探りでトントンと叩いてきたところ、案外壊れたんですよ。タブーに切り込む性教育も、生徒たちの真剣なまなざしが教員の価値観に変化をもたらしています。全国の高校生にオリジナルキャラのコンドームを配布するクラウドファンディングを始めた際も、大勢の教育関係者が賛同してくれました。実は思ってるほど「ねばならない」の壁って少ない。あるとすればマインドセットの問題。心持ちとか固定観念です。ただ、それがなかなか手強い。そんなこともあり、やり残したことはないか自問自答を繰り返した末、飛び出すことにしたんです。内部からだと時間がかかることでも、外からアプローチすれば大きく変わることもある。そんなことを期待しています。助けを必要とする学級の力に。その近道がフリーランスという選択性教育をはじめ学校のタブーの多くは思い込みから生じたもの■田中先生のあゆみ大学入学後も就きたい仕事が決められず、教育学部に転部した末、東京都の公立小学校教員に。24歳病休の同僚の代わりが見つからず苦労したことを契機に代替教員不足等の問題意識が芽生える。33歳教員生活14年目で退職。フリーランスティーチャーとして活動開始。初年度4校の講師に。38歳マーシャル諸島共和国にて半年間、私設図書館建設ボランティアに従事するなど多方面で活動。40歳■清水さんのあゆみ大学卒業後、滋賀県立彦根東高校(全日制)着任。部活動に注力するバスケットボール三昧の日々。青年海外協力隊員としてケニアのHIV感染者ケアセンターに派遣。現地学校で予防講座を実施。高校教員に復帰し、夜間定時制、県教委事務局勤務の傍ら、県内高校を中心に講演活動を実施。退職。人文科学系の大学院に入学し、セクシュアルプレジャー(性的快楽)について研究。22歳30歳32歳41歳172022 APR. Vol.442いま、「働く」をどう考えるか「働く」に自分らしさを重ねた6人の選択

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