ヘアメイクアップアーティストはっとり・ゆきこ●ヘアメイクアップアーティスト。CEU株式会社代表取締役。全国から指名のみでウェディングヘアメイクの依頼を受け、2年先の予約も入るほどの人気ぶり。アクセサリーの制作・プロデュース、美容師向けヘアメイク講師、ファッションショーのヘアメイク監修なども務める。著書に『どうせ24時間 印象に残る女になれ』(角川書店)。最短距離で夢を叶えられなかったからこそできた経験が、今の自分をつくっている標を決めたら、そこに辿り着くためには何をやるべきかを考え、あとはひたすら努力する。そんな生き方をしてきました。仕事についても、高校時代から「ヘアメイクアップアーティストになる」と目標を決めていました。ただ、両親からは大学だけは出ておいてほしいと強く言われて、美容専門学校には進学できませんでした。学費を出すのは親なので、まあ従うしかないなという感じで。でも、専門学校に行くだけが道じゃないので、それがダメなら他の道を探そうと、気持ちはブレませんでしたね。遠回りすることに焦りはありましたが、今振り返ると、焦りがあったからこそよりがんばれたんだと思います。環境が整っていないほうが、人って工夫したり試行錯誤したりして成長しますから。 大学では社会福祉を学びました。社会福祉と美容とを掛け合わせて何かしたいと考えて、顔に損傷を受けた方への特殊メイクや皮膚再生に興味をもった時期もありました。写真館で手伝いをしたことをきっかけにウェディングに興味をもち、卒業後は結婚式場に就職。当時は美容師資格がなくてもヘアメイクができたので、ヘアメイクスタッフとして勤務していました。新郎新婦やご家族をサポートする立場になり気づいたのが、ウェディングと福祉の共通点です。相手は何を求めているのか、どうしたら喜んでもらえるか…を考えて支援するというのは、まさに福祉の考え方なんですよね。お客さまに寄り添いながら提案するという私のスタイルは、このときから変わりません。 2年ほど式場に勤めたのち独立し、その後、専門学校の通信課程を履修して美容師免許を取得しました。ヘアメイクの技術や知識は自己流で身につけていたのですが、時代の流れもあり、取得しておこうと思ったんです。その頃からは幸いにもどんどん評判が広がり、名前を知っていただけるようになりました。以前は、ウェディングのヘアメイクって、下に見られがちだったんです。お客さまの要望に応えるだけで、表現力や発想力は求められない…という印象が少なからずありました。でも私はそうじゃないと思っていて、相手の希望を聞いたうえで、自分から提案していったんです。ウェディングでは使わないようなアクセサリーや流行のメイクを取り入れたりして。これがすごく反響があって、ウェディングのヘアメイク業界のトレンドが変わっていくのを肌で感じました。 最短距離で夢を叶えられなかったからこそ、今の自分があると思っています。私のなかに「諦める」という選択肢がなかったのは、やりたいこと、なりたい自分があるなら、実現するしかないと思ってきたから。いつか死ぬなら、やりたいことに情熱を傾けたい、思いっきり楽しみたい、自分で決めたことに誇りをもちたい、結果を出して一流になりたい…って。今も日々そう思って、全力で生きています。目美容専門学校に進学を希望するも、親の意向に従い大学に進学。高校時代人のためになることを学びたいと、社会福祉を専攻。大学時代結婚式場に就職し、ヘアメイクスタッフとして勤務。就職独立してフリーランスに。ウェディングを中心にヘアメイクアップアーティストとして活動をスタート。独立専門学校の通信課程を履修し、美容師免許を取得。資格取得会社を設立し、名古屋・東京にサロンを開設。会社設立■服部さんのあゆみ@ceu0116@ceu_wedding@ceu.tokyo192022 APR. Vol.442いま、「働く」をどう考えるか「働く」に自分らしさを重ねた6人の選択
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