キャリアガイダンスVol.442
41/66

412022 APR. Vol.442 チーム会議で要となるのが、進行役を担うファシリテーターの存在です。事例を抱えて困っている先生を支える役割として、チーム会議全体を支えます。ファシリテーターになった先生は、自分の意見を述べるのではなく、会議全体のプロセスを促進する役割に徹します。まず最初は、「皆さんお忙しいなか、時間をつくってお集まりいただきありがとうございます」と、参加者全員を労いスタートします。さらに、その後のプロセスを進めていくにあたって、参加者の意見を批判的に見るのではなく、「受け止めて、引き出す」を常に意識します。そこで、発言をホワイトボードに書く際も、発言者の言葉そのものを書くように心掛けます。勝手に要約せず、どこがポイントかわからない場合は、質問して、本人の言葉でまとめ直してもらうなど、参加者を尊重します。そして、たくさん出たアイデアのなかから、事例報告者が行うことを自ら選択できるよう促し、参加者一人ひとりができることを宣言してもらうなどしてまとめていきます。 これらの働きかけによって、参加者全員が前向きになり、「一緒に考えた」「一緒に決めた」というチームワークを引き出すのがファシリテーターです。ファシリテーター(進行役)は場を支え、チームワークを引き出す このチーム会議での大きなポイントは、「解決志向アプローチ」を実践する点です。変えられない過去に囚われるのではなく、変えることのできる未来に目を向ける。それが「解決志向アプローチ」です。例えば、今回紹介するチーム会議の「質問(リソース探し)」でも、できていないことを見つけていくのではなく、うまくいっていることや役立つことは何かに注目し、新しい未来(解決像)をつくることを目指します。そして最終的な目的や目標も、「~しなくなる」といった否定形ではなく、「~ができるようになる」などの肯定的な表現になるように意識します。それにより、会議全体や参加者全員の意識が解決志向に向かい、みんなが元気になって会議を終わることができます。ホワイトボードでできる解決志向のチーム会議-未来につながる教育相談佐藤節子編著/図書文化社元気になって会議が終了できることへの視点が生まれチームに支えられる安心感も 事例報告では担任の先生の気がかりな点が挙がっていたものの、質問タイムで、「できているところ」に注目していったことで、徐々にA子の良いところ、支援のリソースになりそうな部分が出始めた。さらに、ブレーンストーミングで全員が自由に発言していくことで、徐々にチームとしての一体感を得られ、事例報告者は協力者の存在を実感できる。「一緒に考えてもらったことで、自分一人だけでがんばらなくてもいいんだという安心感ももてました。また、先生方が、ご自分のところでもできそうなことを宣言してくださったことで、チームとしての効果の期待も高まりました」など、次の会議までの期待感を得て会議が終了できた。原因追求をしない「解決志向」で未来をつくる事例報告者の希望をもとに、会議の目的・目標を設定。「質問」終了後話が出てきたことで目標を変化させたくなったときは、随時変えていく。会議の目標は途中で変更もOK2最初の5分間で、事例報告者からケースの基本的な状況について説明してもらう。事前資料などは必要なく、その場でどんどん話をしてもらい、ホワイトボードに書き留めていく。最初の5分間で事例の聞き取り3質問タイムで、参加者全員が事例報告の情報を広げたり補ったりしていく。質問が途切れたときは、事例の生徒の情報が多角的に出ているか、良い点や例外などはないかなど、観点を変えてファシリテーターが参加者に質問を促すことも。参加者全員で事例の情報を広げ、補う4

元のページ  ../index.html#41

このブックを見る