1950年創立。青山学院横須賀分校を継承して開設。2009年より青山学院大学との教育提携協定を締結し、キリスト教教育の連続性を意識した高大連携教育を強化。少子化が進む地域において、応募数、生徒数が増えるとともに、難関大学への進学者が増加している。横須賀学院中学校・高校(神奈川・私立)まとめ/長島佳子 撮影/竹内弘真 本校の建学の精神は「敬神・愛人」。まず自己を肯定し自分を愛し、同様に周囲の人を愛する。このゆるぎない基本精神の基、キリスト教教育を実践しているのが特徴です。生徒一人ひとりが与えられた「タラント」(資質・能力・天分)を見出し、それらを遺憾なく発揮して社会に貢献できる人となってほしい。その資質を最大限に引き出す教育活動を行っています。 学校創設以来続いている伝統が、毎朝の礼拝です。全教員が輪番で「いかに生きるか」について生徒たちに語りかけ、生徒たちが日々自分と向き合う時間となっています。クリスチャンの教員は約2割ですが、輪番の先生は、聖書からの引用や、自身の体験などを基に礼拝用の原稿を書いています。クリスチャンではない生徒もいるため、入学当初は礼拝の習慣に戸惑う場合もあります。しかし卒業文集には、「困難に陥ったときに、礼拝での先生たちの言葉に救われた」と綴る生徒がとても多く見受けられます。学年が異なるなど、普段の授業では関わらない先生たちの考え方も聞けたり、自己を振り返りメタ認知できたりする機会にもなり、困難を解決する原動力となっているようです。 特に現代はIT化やグローバル化など変化が激しい時代です。ICT導入や、ネイティブ教師による実践的な英会話など授業改革を進め、時代に合った学びを提供しています。学び方も変化するなかで、ともすると目先のことだけにとらわれ、自分を見失ってしまいがちですが、「いかに生きるか」の基本を常に生徒には意識してほしいと考えています。 ありがたいことに、近年本校を目指す生徒が増加し、専願率も上昇しています。2020年度より新コース制を設置し、国公立大学や最難関私立大学を目指す入学者の要望にも応えるべく、さらなる進学指導の強化や、連携大学の充実を目指しています。 現在は高校だけで48学級を95名の教員が担当。拡充する組織のトップとしては「サーバントリーダー」的存在でありたいと考え、掲げているのが「フットワーク」「ネットワーク」「チームワーク」の3つのワークです。教員、生徒、保護者の思いに対して極力直接話を聞くようフットワークを心掛けています。また、人の異動が少ない私学において視野が狭くならないよう、外部にネットワークを張って常に最新の情報に触れる努力もしています。そして何より、学校は教員がチームとなることで力を発揮できる場です。学校経営には苦難もつきものですが、教員が一丸となり何とか難題を克服したときにトップとしてのやりがいを感じます。 地域や連携大学の信頼を得られたのは、打ち上げ花火的な取組ではなく、地道な日々の積み重ねにほかなりません。今後も時代の変化に対応しながら、生徒一人ひとりが豊かな人生を歩める持続可能な取組を続けていきたいです。かわな・みのる/1958年生まれ。子ども好きであったが大学入学まで教員になるとは思っていなかった。大学時代に母校の高校から野球部の監督を任され、自身と年齢が変わらない生徒たちの指導に携わる。ベンチから外れた生徒たちが献身的にがんばる姿などに感動を覚え、生徒と関わる教員を目指す。明治学院大学社会学部社会学科卒。1981年、社会科教員として横須賀学院中学校・高校に初任。2008年高校主事、2009年から同高校教頭に就任。2019年より現職。神奈川県高等学校野球連盟参与、神奈川県私立中高協会理事を務める。毎朝の礼拝で、生徒が自分自身と向き合う時間を3つの「ワーク」で組織に尽くすサーバントリーダーでありたい432022 APR. Vol.442
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