キャリアガイダンスVol.442
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思い描いている授業のあり方目指す生徒像他の教育活動や社会とのつながり● 数学が好きになる● 教科横断で数学も使うような取組を、一人ではなく、仲間と協力して進める● 社会に出てからも、情報の読み取りや分析、表現や創作などのために数学を活用する・数学と情報の両方の教員免許状をもっている強みを生かし、数学を使ったプログラミングの教育を推進・教科指導でも部活動指導でも、「やらせる」のではなく「好きだから自分でやりたくなる」場づくりを重視数学の授業・学んだ数学の知識や技能を、問題演習や小テスト、教科横断の取組などで繰り返し活用する・わからないことがあれば、インターネットにあげた教材を基に、生徒が自分で何度でも学び直す・アニメーションのあるスライドを見たり、シミュレーションができるツールで図形やグラフを動かしたりして、数学で何をどのように解いているのか、きちんとイメージしながら学ぶ継続して活用するイメージを養う 数学を使ったプログラミング授業にも手ごたえを感じている。2019年に中学3年生の数学の授業で5時間使ってデジタル空間にピラミッドを作った際は、生徒たちから次のような感想が寄せられた。 「ブロックを積むだけと思っていたら、まさか変数とかの数学をまんま使うとは」 「プログラムでピラミッドを作るには、どこを繰り返し、どこを変数XとYで置き、どこでキャラの向きを変えるかなど、数学の式化や気づきが必要だった」 「幾何や空間認識力が必要だと思った。想像できないと、プログラムを作れない」 「関数の実用性を知れた。ゲームという楽しいものを用いたから集中できた」 「面倒くさいと思っていたけれど、作れば作るほど自慢できて楽しいし、作って建てると実感が湧くのでとても良かった」 いつでも見返せる動きのある教材を使い、友達と一緒に学び合う。その実践によって起きた変化のなかで、村上先生が一番嬉しかったのは、「生徒がみんな楽しそうに授業を受けるようになった」ことだ。中学生から持ち上がりで教えている今の高校2年生は、模試の結果も例年より少し良い。その成績以上に村上先生を喜ばせたのが、「模試のアンケート結果で、数学の勉強時間が増えていた」ことだという。生徒と数学の距離が縮まったことの一つの証と思えたからだ。 「プログラミングに興味をもった」 「助け合わないとミスに気づかない。コミュニケーションが大事」 「センスと意見を出し合う力が必要」 数学やプログラミングの有用性や楽しさを生徒が味わい、その活動を仲間と一緒に行うことの醍醐味まで感じてくれた。そのことが、村上先生は嬉しかったという。 今後、村上先生としては、教科横断的なSTEAM教育のカリキュラムづくりをさらに進めていきたいという。 「一度だけ行う教科横断授業ではなく、継続性のある活動ですね。例えば数学を使ってプログラミングをしたりアートを生み出したり。生徒が楽しいと思える取組のなかに『数学の活動』が自然に入っている。そのようなカリキュラムや教材を作っていきたいです」生徒はこう変わる数学を使った共同作業を楽しみながら成長していく■ 生徒INTERVIEW――皆さんは昔から数学が好きでしたか? また、村上先生の授業を受けるなかで、ここが伸びたと感じている部分はありますか?末村「最初、数学は好きでもなかったです。でも村上先生に教わるなかで変数やベクトルとかもイメージできるようになり、今では数学が好きになりました。そこが一番成長したところかな、と思います」原「苦手なほうに行くのを、村上先生に止めてもらっています。先生の授業のスライドがあるのとないのでは全然違ったと思うので」後藤「昔は苦手でしたが、今は好きです。スライドやGeoGebraを使って、図形の性質とかも僕らがイメージをつかめるように教えてくれるので、わかりやすいんです。数学が面白くなってきました」葉山「もともと好きでしたが、おかげで成績も伸びました。授業のスライドがホームページにもあり、自分で何度でも勉強できるので」――数学の勉強が何になるのだろう、と思うことはないですか?末村「習ったことをそのまま使うことはなくても、今授業でやっている考え方とか、想像力とかは、将来も絶対に使うように思います」原「先生が授業で逐一『ここで使えるよ』という話もしてくれるので、そのたびに納得しています。僕は生物が好きなのですが、その分野でも数学を道具として使えるようにはなりたいです」後藤「前に授業でこのテーマを考えたんです。今では大学受験のためだけでなく、私生活でも数学は使えるんだな、と感じています」葉山「マインクラフトの授業で数学をより身近に感じるようになりましたし、数学が趣味、と言うと変かもしれませんが、社会人になっても、楽しみながら数学をやっていきたいな、と思っています」「やりたいことに使える数学」や「楽しみながらやる数学」を発見左より、2年生の末村長太郎さん、原 啓馬さん、後藤源六さん、葉山直輝さん592022 APR. Vol.442

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