―策定後はどう運用していますか。札幌大通高校では、SMやSPを「先生方が自信をもって教育実践をするための根幹」としています。新年度計画を作るときや教育活動を見直すときに、SMやSPに照らし合わせて考えることで、先生方の日々の教育実践と、学校の目指す方向性の歯車がかみ合っているか確認する、というように。SMやSPの運用は、先生方に新たな取組を求めるというより、積み上げてきたことをより明快な意図をもって実践できるようにすることだと思っています。札幌啓北商業高校では、年度末の校内研究会で、SPの浸透を兼ねて「この先どんな教育をするか」を考えました。個々に実践してきた授業やプログラムは、GPで定めた資質・能力の何の育成と結びつくか。それら資質・能力をさらに伸ばすために、新たに何をしたいか。10人ずつのグループに分かれ、アイデアを創出するためKJ法などを使い、情報を整理し、今後の教育活動をSPに沿って俯瞰できるようにしたのです。若い先生でも気兼ねなく話せるよう、グループ分けはあえて同世代で集まるようにしました。その取組、いいですね。札幌旭丘高校の「数理データサイエンス科」の方針は、学科の立ち上げに関わった先生はよく理解していますが、全教職員ときちんと共有できているかはまだ自信がないんです。今後の参考にしたいと思いました。ありがとうございます。SPを基にまとめた教育活動の全体像は、生徒ホール室の前の廊下に張り出し、私たち教員が考えたことを、生徒も視覚的に捉えられるようにしました。我々が主に進めたのはルーブリックの作成です。新学科の「育成したい力」の定義に基づき、評価の観点をまとめました。それを教員が指導に生かし、生徒が自己評価にも使うことで、同じ方向を目指して学べるようにしようと。ただ、「データサイエンス」のニーズが一層高まり、仮に小中学校でも学ぶなど、社会でより一般化したなら、変化に合わせてこの学科の方針を今以上に進化させることも必要だと感じています。本校のSMやSPも、社会の変化に合わせて見直していきたいです。ビジネスの変化も早いので、時代のニーズに即した商業教育ができるように。本校では、転任・新任の先生に、生徒の状況を踏まえた対応をするために「この方針です」とSMやSPを共有することもしています。本校の普遍的な理念を示し、目の前の生徒たちの実態に合わせた教育活動をする根幹として作ったものだからです。新学科でも、入学した生徒の実態にふれるなかで見えてきたことがあります。社会に出るには人と関わる力がまだ弱いのかな、そこも伸ばしたいな、などと考えていました。SMやSPによって、先生同士をつなぎ、学校と生徒をつなぎ、学校と社会をつないでいく。今回の取組がそうした変化を起こすきっかけになったのであれば、SMを一緒に作った私たちも大変嬉しく思います。札幌啓北商業高校のスクール・ポリシーの策定プロセス● 校内研究会でSPに基づいて教育実践を整理→生徒にも公開● 学校の教育目標● 既存の教員・生徒・保護者アンケートの分析● SMやSPの策定開始→学校改革検討委員会が中核に●検討委員会が各方面と協議・全員(職員会議)とSMやSPを・教育課程委員会とCPを・入選委員会とAPを●職員会議でSP確定●学校改革検討委員会発足→教員アンケートなどを実施札幌啓北商業高校のGPこのGPに紐づけて、自分たちの教育実践を捉え直すという校内研究会も行った。● 多様な社会状況において、商業高校の「学び」で得た知識・技能を活用し、課題探究のアプローチの方法を創造できる。 【Creation】● 様々な立場・価値観・考え方を持つ人と積極的に交流し、目標達成に向けて協働することができる。 【Collaboration】● 課題を自ら探究し実践する中で、困難な問題に対しても粘り強く挑戦することができる。 【Challenge】※ダウンロードサイト:リクルート進学総研 >> 刊行物 >> キャリアガイダンス(Vol.443)※札幌旭丘高校/札幌啓北商業高校のスクール・ポリシー全文は小誌ホームページからダウンロードできます212022 JUL. Vol.443スクール・ポリシーをみんなのものにする高校事例
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