キャリアガイダンスVol.443
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 毎年国公立大学に多数の合格者を出す岐阜北高校。しかし、生徒たちが偏差値を基準に進路選択することが多く、主体的に自分のやりたいことを検討できていないことに先生たちが課題感をもち始めていた。そこで、学校が育成したい具体的な生徒像を、教職員、生徒の共通認識として形成することで課題を解決しようと考えた。 時を同じくして、2019年度に県の「地方共創フラッグシップハイスクール」の指定を受け、探究的な学びを始めることになった。カリキュラムのブラッシュアップをはかるためにも、当時の校長とカリキュラム開発事業部の先生たちは、育てたい人物像を明確化する「スクール・ポリシー」の作成を目指し、生徒も参加する「北高活性化プロジェクト」を発足。文部科学省からスクール・ポリシー(以下SP。岐阜北高校固有の「スクール・ポリシー」は括弧付きで表記)策定の方針が出る前に、同校が独自で進めたプロジェクトだ。「生徒と教職員の協働にした目的は、生徒たちの自発性を促し、学校を活性化させることです。我々教員には、学校に対する生徒の本当の気持ちを聞けていないのではという思いがあったからです」(カリキュラム開発事業部 髙木一輝先生) プロジェクトチームとして、教職員はカリキュラム開発事業部を中心に各分掌から1名ずつ、生徒は生徒会メンバーを中心に結成。プロジェクトのゴールは2019年度内に「スクール・ポリシー」として目指す生徒像を明文化することとした。 進め方の計画を立てたうえで最初に行われたのが、2019年11月の「がやがや会議」だ。教職員60名と生徒の有志22名が集い、教職員と生徒混合の小グループに分かれて学校の良いところ、課題に思うところを1時間にわたって率直に語り合った。KJ法で意見を付箋に書き出し、各グループの模造紙には、「先生たちが面白い」「授業の工夫をしている」「生徒が受け身」「テストが多い」など、付箋がびっしり貼られていった。「がやがや会議」で出たキーワードを教職員チームが整理し、それを基に、まずは生徒チームで案を作成していった。プロジェクトの進行は各フロアに設置されている掲示板代わりのモニターで常時情報共有。プロジェクトメンバー以外の全生徒や教職員にも、活動内容が伝わる工夫をしていた。「スクール・ポリシー」案として生徒たちからは、「三自政策(自主、自立、自発)」や「三交政策(生徒のつながり、生徒と先生のつながり、先生のつながり)」などが出てきた。みんなとつながりながら、自分たちで決めたい、行動したいという生徒たちの思いがあふれていた。 生徒案の言葉と思いを受けて、教職員チームでブラッシュアップが始まった。そこで出てきた言葉が「荒野をひらく探たんきゅうびと究人」だ。「がやがや会議を経て感じた課題は、生徒たちが与えられる環境に慣れすぎていること、教員も与えすぎていることでした。『荒野』には、正解がひとつでない未知のことに自分たちでチャレンジしてほしいという気持ちが、『探究人』は、そうした荒野に向かっていく生徒たちに、自分なりの答えを探してほ生徒の本音を聞き、生徒と共に学校のあり方を考える生徒と教職員が同じ場で課題を考える「がやがや会議」生徒の「スクール・ポリシー」案を、教職員がブラッシュアップ取材・文/長島佳子岐阜北高校のスクール・ポリシーの策定プロセス● 教職員が整理   ↓● 生徒が「スクール・ポリシー」のベースを策定   ↓● 教職員がブラッシュアップ● がやがや会議[教員・生徒有志]●校内の課題感●探究的な学び検討[カリキュラム開発事業部]●北高活性化プロジェクト発足[教員・生徒]●SP決定プロセスを校内掲示●式典等の行事での発表●SPがコロナ休校中の対応指針に●CPを授業に反映※ダウンロードサイト:リクルート進学総研>> 刊行物>> キャリアガイダンス(Vol.443)※岐阜北高校の授業アンケートは小誌ホームページからダウンロードできます※岐阜北高校のスクール・ポリシー全文は小誌ホームページからダウンロードできます262022 JUL. Vol.443

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