スクール・ポリシーを策定する目的は、育成を目指す資質・能力を明確化・具体化し、教育活動の改善に結実させていくことです。それを踏まえると、美しい文言を作ることが重要ではなく、皆さんで策定に取り組むプロセスそのものに大きな意義があるように思います。 多忙を極める学校現場において、先生同士で語り合う時間を取るのは難しく、先生方の思いやがんばりが個人の中に閉じている場合も少なくないでしょう。ぜひこの機会に、先生同士をはじめとする関係者の皆さんと、目指す生徒像や自校に必要な教育活動について、腹を割って対話してみてください。きっと、先生方それぞれの専門性や個性を活かした貢献意識や、組織としての一体感を高めることにつながるでしょう。 スクール・ポリシー策定から運用の取組を通じて、先生方が同じ方向に向かって歩む仲間を増やし、学校が生徒について語り合える組織になることを願っています。れず日常的に意識しにくいもの。思い切って「〇〇力」といったいくつかの単語に凝縮させたとしても、全教職員で話し合って策定したもので、先生方がその単語の背景に具体的な生徒の姿が見えていれば、むしろ効果的ではないかとも思います。 ただし、シンプルで抽象度の高い文言にすると、学校がその方向で取り組めているかどうかを評価しにくいことが考えられます。その場合は、各教育活動における具体的な生徒の姿を下位項目として設定しておき、評価する際に活用する方法もあります。前とされていた学校行事や活動内容の必要性を根本から問い直すきっかけになりました。スクール・ポリシーによって学校がやるべきこと・なくてもよいことの判断が一層しやすくなり、精選する場合でも周囲は納得感をもてるのではないでしょうか。 また、スクール・ポリシーは先生方の取組を意味づける効果もあります。何のためにやっているのかを感じながら取り組めるようになることは、〝働きがい改革〞になるともいえます。は大きく修正しない想定で、その間の状況変化に対応できるやわらかさや、多様な生徒や先生方の願いをカバーできるような幅広さも必要でしょう。 また、複雑な長文は、内容を覚えら つい、あれもこれもと欲張って要素を詰め込みたくなるものですが、あまり細かく作り込むと、状況が変化するなかで長期間継続するのが難しくなる懸念があります。少なくとも3年程度く恐れもあります。年1回は全教職員でスクール・ポリシーを見つめ直す必要がありますが、特に新しく転入してきた先生には、策定経緯を含めて丁寧に説明することが大切になります。 例えば、その説明役には各分掌や学年団から一人ずつ任命するなどして、複数の先生が持ち回りであたるのもよい方法です。説明役になった先生にとっても、改めてスクール・ポリシーについて考え、自身の言葉で語るよい機会になるでしょう。 実態にそぐわないスクール・ポリシーは、次第に使われなくなる可能性が高いと思います。しかし、最初から「完璧」なものを作るのは難しいもの。初年度、取り組むなかで、各ポリシーの整合性や文言の違和感などに気づくこともあるでしょう。そうした気づきを基に微調整して、徐々に作り上げていくぐらいの構えでいいかもしれません。 また、せっかくみんなで話し合って魂を込めたスクール・ポリシーも、先生や生徒が入れ替わるなかで形骸化してい292022 JUL. Vol.443
元のページ ../index.html#29