352022 JUL. Vol.443苅間澤先生のワンポイントアドバイス「傾聴」は授業のなかでも重要なスキルです 「傾聴」のスキルは、相談や生徒指導の場面だけではなく、授業を進めるうえでも大切なスキルとなります。 特に、アクティブラーニング型の授業では、生徒同士が互いの意見に耳を傾け、しっかり受け止める「傾聴力」が重要になります。ところが、人は自分がされていないことを実行するのは意外に難しいものです。その点、日頃から教師が傾聴の姿勢で生徒と接していると、生徒は自然と傾聴を学びます。アクティブラーニング型の授業をより豊かにするためには、不可欠な要素だといえるでしょう。 また、教師にとっても、傾聴の姿勢で生徒と接していると、より生徒の発達段階や状況把握がしやすくなります。それが、より良い授業展開にも必ず役立つことと思います。 「耳」で聴き、「目」で聴き、「心」で聴く。「傾聴」のスキルを、特別な場面だけではなく、日常的にも役立てていただければと思います。『LISTEN』ケイト・マーフィ 著篠田真貴子 監訳・松丸さとみ 訳(日経BP)ジャーナリストの著者が、自らの体験とともに、「聴く」ことの本質を書いた話題の本。っている悩みが、必ずしも本当に伝えたいこととは限らないということです。 「受験勉強が進まない」という悩みでも、よくよく話を聞くと友人関係にトラブルを抱えていたり、「やりたいことが見つからない」という相談でも、本当はやりたいことはあってそれを言い出せない問題があったり。表面的な言葉だけを聞いていては、本質の問題が解決できず生徒の心が離れていく可能性もあります。 そこで、常に本当に訴えたいことは何なのかに思いを馳せ、しっかり傾聴を深めていくことが大切になります。 そのためには、話を聴く教師自身に余裕があることも必要です。あまりにも忙しかったり、体調がすぐれないなどの状況では、その余裕も生まれません。教師自身が生活をコントロールし、余裕をもって生徒と対応できるようにする。それも「傾聴」では大切なポイントになります。と冷静に返すことはないでしょうか。このようなときは、「何、何? どうしたの?」と同じ雰囲気に乗ってあげる。そうすることで生徒は「わかってくれそう。聞いてもらおう」という安心感や親近感を抱くことができます。そして、最初は生徒のペースや声のトーンに合わせていても、徐々にこちらがペースダウンしていくことで、自ずと生徒の呼吸も整ってきます。 感情が高ぶっているときなど、いくらこちらが冷静でいても、その声はなかなか生徒には届きません。まずは教師が呼吸を合わせ、徐々に冷静になるよう導くことで初めて、生徒は教師に向き合う準備ができるのです。 相談でよくあるのは、最初に言葉で言いうか、どうでもいいっていうか」と言いながらも手をぐっと握りしめている様子を見て、「うん。すごく悔しいよね」と返す。そのような感情の反映は、「わかってもらえた」という感覚が高まるスキルです。 さらに、感情の反映をしてもらうことで、生徒自身は自分の感情を客観的に見ることにもつながりやすく、次のステップへと考えを進めやすくなるといえます。 傾聴において、相手が話すテンポや声のトーン、呼吸のリズムなどに合わせる「ペーシング」も、信頼関係を築いて話を深めるためには有効なスキルです。 例えば生徒が、「先生、先生! すっごく大変なんだ!」と慌てて話しかけてきたとき。「何をそんなに慌てているんだ」大切にして行う必要があります。「ああ、そういえば」「やっぱり、こう思っていた」といったような気づきなどにつながるよう、「閉じられた質問」と「開かれた質問」を上手に使い分けていきましょう。 言語や非言語で伝わってくるソワソワした感じや悔しそうな様子など、感情をしっかり受け止め、そのフィードバックをすることも、傾聴では重要なポイントになります。 例えば、「何だか焦ってばかりで、やるべきことも手につかないし…」と言いながら手や足もソワソワ動かしている生徒の様子を受けて、「そうか。そんなにソワソワした感じがするんだね」と教師自身も身体を動かしながら感情の反映を行う。また、試験に落ちて「いろいろ面倒臭いとポイント5ポイント6ポイント7本当に伝えたいことに思いを馳せる生徒の興奮や呼吸、心のスピードを合わせる感情の反映を行う
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