キャリアガイダンスVol.443
44/66

うして情報を動かしていくなかで湧き上がる疑問や違和感を、落書きするように書き出していきます。これが最初の「問いの束」になります。この状態でも既に、好奇心はむずむずと動き出すはずですが、自分のイマジネーションの外にある「知」と半ば想定外の出会いをすることで、スタンバイ状態にある好奇心を一気に芽吹かせます。今回は、「問いの発芽」を強力にサポートする読書法をご紹介します。 まずは本を選びます。「自分の関心」と「偶然の出会い」がいい塩梅に混じり合うことが大事なので、あまり慎重に吟味はしません。制限時間を決めて、「問いの束」に自由に思いをめぐらせながら、本棚を歩きまわってみてください。ピンときた本を手に取りながら、表紙や目次を眺めて興味が湧いた本を手元に残します。 何らかのテーマを考えるために本を活用する読書法を、編集工学研究所では「探究型読書(Quest Reading)」と呼んでいます。探究型読書では、本の内容をあまさず理解することよりも、本を手 情報の多面性に注目すると、問いのタネが集まってくる││前回は、情報の「地と図」を動かしながら、特定のトピックをさまざまな角度で捉え直す演習をご紹介しました。問いのタネを収集していくための、最初の取っ掛かりは何でも構いません。ニュースになっていること、授業で知ったこと、友達との会話、好きなアーティストの話題など、どんな些細なことでもいいので「ふと気になること」を仮のトピックに据えてみます。授業で設定されているテーマがあれば、それが最初のトピックになってもいいでしょう。 特定のトピックの「地と図」を動かしながら連想を広げていく段階では、なぜ自分はそれが気になるのか、何にひっかかるのか、そのことにも注意を向けてみましょう。「それはつまり…とも言える」という具合に言い換えをしてみると、自分の中にある別の見え方に気がつきます。そ「地と図」の連想から始める探究型読書の3ステップ「問い」が先導する「探究型読書」探究活動からイノベーションまで、世代や領域にかかわらず今問われる「問う力」。「答え方」ではなく「問い方」を鍛錬するにはどうすればいいのか。前回は、「問い」のタネを集めていく独自の方法について展開いただきました。第3回となる今回は、本を通して「問いの発芽」を促すアプローチについてお話しいただきます。編集工学研究所 安藤昭子442022 JUL. Vol.443

元のページ  ../index.html#44

このブックを見る