キャリアガイダンスVol.443
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『多読術』松岡正剛(ちくまプリマー新書)前人未到のブックナビゲーションサイト「千夜千冊」で知られる編集工学者・松岡正剛の「本との付き合い方」を大公開。お気に入りのジーンズを穿くように本と接する、アスリートがたくさんの筋肉を動かすように読み筋を鍛える、読書は三割五分の打率で上々、三分間目次読書で読みが速くなる…。本編で紹介する「探究型読書」のベースにもなった、セイゴオ流読書術の極意を伝授する。『本を読むときに何が起きているのか』ピーター・メンデルサンド(フィルムアート社)原題は"What We See When We Read"。本を読んでいるとき、私たちの脳や心や体には何が起きているのか? 本と読者の間にゆらめく豊かなイメージの世界を、数々の名ブックデザインを手掛けた視覚の魔術師が美しくも奇想天外なビジュアル構成で描き出していく。文学や記号論や図像学を縦横無尽に往来し、読書と想像力の謎を探究する、めくるめくブックアトラクション。『読書について』アルトゥール・ショーペンハウアー(光文社古典新訳文庫)「悪書は知性を毒す」「反芻し考えたときだけ本は血肉になる」「読破すべきは世界という書物である」ーー産業革命後に押し寄せた大衆文化の激流のなかで、一人の哲学者が時代に活を入れるように綴ったこの小さな一冊は、当時出版されるやベストセラーになった。2世紀を経た今も色褪せない、人間の本質を求め続けたショーペンハウアーによる「自分の頭で考える」ための読書哲学。働かせて、自分や周囲の事象との関係線を発見していきます。こうした読後のアナロジカル・シンキングによって、読書体験は深く印象に刻まれ、一冊との出会いが格段に豊かなものになります。 最後に、「Quest Topic」に照らして思うこと、仮説や疑問や問題意識をメモしましょう。改めて考えたいこと、本との対話によって引き出された問いを、次の「Quest Topic」としてメモしておきます。 これで探究型読書はひととおり終了です。再度グループで、考えたことを交わし合いましょう。一人ずつの発表という形にせずに、次の問いが生まれてくるような対話を心掛けます。お互いに違う本を読んでいても、あるいは違ったQuest Topicを掲げていたとしても、「問いが先導する読書」体験を終えた直後では、どんな情報も自分の想像力を触発してくれるはずです。「〜さんの話にもあったように」「それを聞いて思ったんだけど」など、人の発言を何かしらの形で引き取るようにすると、不思議なくらい対話はつながっていきます。 探究型読書と対話の時間を通して最も心をつかまれた問いを残しておきます。その問いをもちながら再度本棚に行くと、また気になる本がどんどん目に飛び込んでくることでしょう。こうして、問いから問いへの連鎖を起こしていくなかで、真に探究したい独自のテーマの骨格がやがて浮かび上がってくるはずです。の「問い=Q」と「答え=A」を追いかけるつもりで、どんどん本文をめくっていきます。まんべんなく理解しようとするのではなく、あたりをつけて、本の趣旨やメッセージ、キーポイントを素早く読み取っていく読み方です。 このときに、自分の「問い=Q」と「答え=A」も同時に立ち上がるように意識します。本文を読みながら浮かんできた疑問(Q)や、新たな考えとして発見できたこと(A)など、自分の頭で起こるさまざまな変化にも意図的に注意を向けます。本文を読み進めていると、つい著者の言い分を汲み取るほうに思考が引っぱられますが、探究型読書においてはあくまで主体は読者です。読み手の想像力のほうに軸足を置き、著者の「Q」と「A」を活用しながら、自分の「Q」と「A」も豊かに引き出していくことを目指します。 この要領で、新書一冊であれば20〜30分で目を通します。もちろん、すべてを読み切れるわけではありません。どんどんページをめくりながら気になるところは少し手を止めて前後にしっかり目を通すなど、緩急をつけながら読み進めます。目次を手がかりに、気になるところから拾い読みする形でも構いません。 本文を読み終えたら、一冊の本から得た情報が「何に似ているか、何と関係ありそうか」というアナロジー(類推力)をSTEP3「読後」:アナロジカル・シンキング問いから問いへ探究型読書のためのノート「Quest Readingノート」はこちらからダウンロードできます。462022 JUL. Vol.443

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