キャリアガイダンスVol.443
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【学長プロフィール】くすみ・まり●昭和大学医学部特別研究生修了。医学博士(Ph.D.)、米国AIU/CSPP臨床心理学大学院修了(臨床心理学修士)。1991年学校法人早稲田医療学園理事長就任。1993年早稲田医療技術専門学校を設立。2000年人間総合科学大学を創立。【大学プロフィール】2000年開学。人間科学部心身健康科学科(通信制)、同学部ヘルスフードサイエンス学科、同学部健康栄養学科、保健医療学部看護学科、同学部リハビリテーション学科(理学療法学専攻、義肢装具学専攻)に加え、大学院人間総合科学研究科心身健康科学専攻(通信制)、同健康栄養科学専攻を擁する。埼玉県さいたま市(蓮田キャンパス、岩槻キャンパス)。「右手にライセンス左手に生きる力」をもった人生に意味を見出せる人材に̶変革に挑む̶まとめ/堀水潤一 撮影/竹田宗司人間総合科学大学学長久住眞理人間を、「こころ」「からだ」「環境・社会」の側面から総合的に探究することを目的に人間総合科学大学は開学しました。人間を総体として理解するには多面的なアプローチが必要です。いささか長く、壮大とも言われる大学名には、そうした信念が表れています。 通信制専門の私立大学という、当時、例を見ない形でスタートしたのは、働きながら学びやすくしたかったため。というのも本学園は、2000年の大学開学以前から医療系の専門学校としての長い歴史があります。優秀な医療人を多く輩出してきたものの、医療が高度化するなか、学士の学位をもつことで仕事の幅が広がるのに、という声を卒業生から聞いていました。なんな応対、さらにグループディスカッションなどを通じ学生同士で学び合うシステムが機能しています。 ただ、資格取得以上に大切なのが卒業後の長い人生です。私自身若いころ、試験勉強に苦労しましたが、人生に意味を見出したのは、患者さんにありがとうと言われてから。そのとき初めて、学んできたことの意義や、果たすべき役割や、それに伴う責任などを実感しました。ですから本学では、「何を是とし、何を非として生きていくのか」といった生き方のモノサシになるような教育も懸命にしています。自分の命の使い方が、人の命や健康を左右する。医療や福祉を志す学生や、さまざまな背景をもつ通信制の学生には、そうした言葉が通じるんです。私たちのような大学に課せられた教育の質保証とは、そういうことだと感じます。 もう一点、重視しているのが、自立と共生の心をバランスよく育むことです。若い人たちの、他者を思いやる優しい心には本当に頭が下がります。一方で、「誰がなんと言おうと自分はこう思う」といった自己主張が少ないことも感じます。そのためには、これまで以上に個性を認め、失敗を許容するような社会を、私たち大人がつくっていかなければなりません。としても彼・彼女らに誇りと自信をつけてもらいたい。熱にうかされたように必死で挑んだ大学設立でした。 現在は通信制に加え、通学制でも大勢の学生が学んでいます。けれど、「学びたいときが成長期」という考えに変わりはなく、いつでも、どんな場でも学べる環境を提供しています。通信制で培われてきたノウハウは、コロナ禍におけるオンライン教育や海外交流などにも大いに活かされています。 強調したいのは「右手にライセンス、左手に生きる力」という教育方針です。まずは国家試験合格に向けた指導を徹底する。その際、初学者でも学びやすいオリジナル教材や、気づきや振り返りを重視した教職員によるきめ細か492022 JUL. Vol.443

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