キャリアガイダンスVol.443
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502022 JUL. Vol.443 仙台市内の好立地にあり、部活動も活発な文武両道の進学校として、県内の幅広い地域から生徒を集める仙台南高校。1〜3学年の総合的な探究の時間で展開している「公いちょう孫樹プログラム」が、同校の新たな特色として注目されている。 公孫樹プログラムは、自己の在り方・生き方を考えながら、適切で論理的な課題の発見と解決に必要な資質・能力の育成を目指し、2020年度にスタートした(図1)。公孫樹は同校の校木であり、その葉の形は、各教科で学んだことを横断的に活用して取り組むというプログラムの特徴と重なることから、この名称がつけられている(図2)。 同校では数年前より、学習指導要領改訂や入試改革などの動向を踏まえて、高校卒業後の進路実現だけを焦点とするのではなく、その先の人生を見据えた資質・能力の育成や、在り方・生き方にも重点を置いており、公孫樹プログラムはその代表的な取組といえる。 以前の総合的な学習の時間でもグループで課題研究には取り組んでいたが、調べ学習に近い形で、生徒の取り組み状況にも差があるなどの課題があった。そこで、先々の人生にはどんな力が必要なのか、その力を育むためにはどのような活動が必要か議論を積み重ね、課題研究とキャリア教育を2本柱とするプログラムに改変し取り組んでいるのだ。 同校の生徒の特徴について、教員は「人が好い」と口を揃える。総合的な探究の時間運営委員会の小野寺智弘先生も、こう話す。 「優しくて、気遣いができ、本当に気持ちの良い子たちばかり。リーダー経験者も多いのですが、ぐいぐい引っ張るというより、メンバーをもり立ててバランスを取るようなタイプが多いです」(小野寺先生) 一方で、言われた以上のことに自らチャレンジしようとする姿はあまり見られず、「伸びしろの大きい生徒たちの力を、学校は十分に伸ばせていないのではないか」といった課題感があったという。同委員会の飯塚大樹先生は、「生徒たちは、求められる答えを察知し、〝模範解答〞を出すのは得意。しかし、社会ではその一歩先が求められるのではないか」と話す。 そこで、プログラム改変の軸となったのは、「生徒をもっと地域に出そう」だ。「人の好い生徒同士みんな仲が良い。だからこそ、その居心地の良いなかで小さく収まらないよう、もっと生徒を地域に出して、社会の現実から刺激をもらうことが必要です」(小野寺先生) では、具体的にどんなプログラムを展課題研究とキャリア教育の2本柱で総探を見直し小さく収まりがちな生徒たちをもっと地域に出そう社会からのフィードバックが生徒の力を開放する機会に取材・文/藤崎雅子総合的な探究の時間 キャリア教育と探究の融合 地域連携大学との連携 ルーブリック評価 SDGsキャリア教育と課題研究を2本柱とする、仙台南高校の「公孫樹プログラム」。社会の現実に触れる活動を軸に、生徒の主体的な思考や行動を促し、一人ひとりがもつ可能性を存分に伸ばしていこうと改善が重ねられています。

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