キャリアガイダンスVol.443
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522022 JUL. Vol.443課題研究に取り組む。 生徒が設定するテーマは、「地域で使われるオノマトペと気候は関係するのか」「メディアやSNSに世界中の子どもたちを救う手掛かりはあるのか」「日本のジェンダーに関する差別はなくせるのか」など多彩だ。これらを「経済」「国際」「建築」など16種類程度の学問分野に、クラス横断でグルーピング。各分野には学年団の教員が担当としてつくほか、大学教員など1人がマスター(アドバイザー)として参加。マスターは、テーマ設定、中間発表、最終発表といった節目に来校し、視野を広げるための講義や、各生徒の取組内容に対する専門的な助言を行う。 授業中は個人の活動が中心で、図書館で調べものをしたり、理科室で実験したり、学校外でフィールドワークを行ったり、各自が自分の計画に沿って活動を進める。そのなかで各分野を担当する教員の大きな役割は、生徒の〝壁打ち〞になるーからアドバイスをもらうときと、最終発表でオーナーから講評をもらうときだ。生徒の発表に対し、オーナーからは「いつ?」「どこで?」「どれぐらいの費用をかけて?」など、踏み込んだ質問が容赦なく飛んでくる。そこまで具体的に考えていないグループも多く、自分たちの考えや取組の浅さを思い知ることになる。 「オーナーとのやりとりのなかで〝模範解答〞が社会では通用しないことに気づき、それぞれがもう一段深く考えようとし始めるようです」(飯塚先生) 「誰かに言われてやるのではなく、自分から動かないと何も進まないのだと、生徒は少しずつ認識するようになります」(小野寺先生) 2学年では、個々の興味・関心や将来やりたいことから問いを見いだし、個人でことだ。 「先生方には、生徒のなかを回って、どんどん〝すっかける〞(方言で「ちょっかいを出す、かまう」)ことをお願いしています。生徒からの相談に乗るのはもちろんですが、煮詰まってどう相談していいかわからない場合もあるので、『どうよ?』『今どんな感じ?』と声を掛けることも大切。そうして生徒の言葉を引き出すことで、自分の考えをまとめる手助けになることも多いようです」(小野寺先生) また、節目には生徒間の意見交換の時間も設定。他者の客観的な視点を取り入れながら、テーマを深めていく。 こうして課題の設定から解決までの探究活動を生徒自身で進める経験を、同校では最終的な発表や成果物の良し悪し以上に大切にしている。 「2学年で取り組んだテーマが必ずしも実際の進路につながるわけではありませんが、探究のプロセスを学んだという経験は一生もの。生涯をかけて探究したいテーマを見つけたときに、この活動を通じて身につけた力やスキルを活用していってほしいと思います」(飯塚先生) 1・2学年の公孫樹プログラムでは、年2回、生徒が各自の取組を振り返り自己評価を行う。1学年では「思考力」「想像力」「探究力」「表現力」の4つの力、2学年では「課題と仮説の設定(課題発見力・仮説設定力)」「資料収集の計画と実施(計画力・実証力)」「資料の分析(判断力・読解力)」「論理の構成(考察力・論理的思考力)」「研究成果の発表(情報整理力・表現力)」の5つの観点を設定。それらの到達度について、生徒はルーブリックのチェック表を用いて考え、担当教員と面談して確認、調整する(図4)。 この自己評価のねらいの一つは、生徒が自身の取組を適切に評価できるようにすることだ。生徒は自身を過小評価しがちで、教員との面談を経て上方修正する場合が多いという。 「生徒は自分が周囲より突出することを控えて、いい塩梅に収めようとする傾向があります。しかし、やったこと、できたことがあれば堂々と認めて評価することで、もっと自信をもって突き進む力にしてほしいと思います」(小野寺先生) また、年2回同じ観点で評価を行うことで、次の活動への取り組み方を主体的に考え、改善していくというサイクルを身につけることもねらいとしている。 「その時点でどれだけ到達しているかはあまり大きな問題ではなく、最初の自己評価を次にどう上げるかが重要です。自分を適切に評価し、そしてどうすれば自らのステージを上げていけるのか、自分で考えて調整していく力を育んでほしいですね」(小野寺先生) 3学年では、1・2学年までの活動を踏まえ、持続可能な社会の実現に向け何のために大学へ進むのか各自の興味関心を基に探究プロセスを学ぶ適切に自己評価し次に活かす力を育む大学教員のアドバイザーから、その学問分野についての講義を受ける2年生。後半は質疑応答や相談の時間に。2年生の課題研究の成果を、ポスターセッション形式で発表。課題研究では、フォームに沿って「調べた内容・文献調査」「仮説」「実証方法」「実証の結果」などの情報を整理していく。

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