2Vol.443 別冊特集 今、ビジネスの世界で「データサイエンス」への注目度が急速に高まっている。それに伴いデータサイエンティストの人材不足も叫ばれるようになった。図1を見てほしい。日本国内の従業員30名以上の企業への調査で、 「この1年間で、貴社が目標としていた人数のデータサイエンティストが確保できましたか」という問いに対し、「どちらかといえば確保できなかった」「確保できなかった」との回答は合計で約6割となっている。この結果からもわかる通り、多くの企業がデータサイエンティストの確保に苦戦しているとみられる。 人材の確保が難しいのは、データサイエンティストに求められる要件が複雑で高度であることも理由の一つだ。図2を見ると、「企業が採用・育成したいデータサイエンティストの人材像」として上位に挙がったのは、「データによるビジネス課題解決を得意とする人材」「複数の分野を俯瞰的にみてデータ分析の活用を戦略的に考えられる人材」「データを使ったサービスを開発する人材」となっている。つまり、単にテクノロジーや数学に通じているだけでなく、ビジネスや経営にも通じていることが重視されているということだ。 ここで、「データサイエンティスト」とはどういう仕事なのか、疑取材・文/伊藤敬太郎 イラスト/ミヤザキコウヘイ今、将来有望な職種として挙げられる機会も増えているデータサイエンティスト。しかし、その仕事や役割まではまだまだ理解が浸透していない。データサイエンティストは、決して理系の専門職ではなく、より幅広い力を有し、それを活かしてビジネスの課題解決やイノベーションを実現する存在として期待されている。では、今、真に求められているデータサイエンティスト像とはどのようなものなのか、そのためにはどのような学びや進路選択が必要なのかを考察していきたい。企業が採用・育成したいデータサイエンティストの人材像データサイエンティストの確保が課題図2図1出所/一般社団法人 データサイエンティスト協会「データサイエンティストの採用に関するアンケート」(2021年)出所/一般社団法人 データサイエンティスト協会「データサイエンティストの採用に関するアンケート」(2021年)Q この1年間で、貴社が目標としていた人数の データサイエンティストを確保できましたか。確保できた(%)どちらかといえば確保できたどちらかといえば確保できなかった確保できなかったデータによるビジネス課題解決を得意とする人材複数の分野を俯瞰的にみてデータ分析の活用を戦略的に考えられる人材 統計やAIなどのデータ分析に関する「理論」に詳しい人材 データ分析のプロフェッショナルな人材データを使ったサービスを開発する人材データのハンドリングを得意とする人材(エンジニア)データを使ったアート作品を作るクリエイター的な人材
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