キャリアガイダンスVol.444
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なるほど…。これからは経験が資産になる時代、という話を聞いたことがあるのですが、あくまでも「自分自身で気づいた経験」が財産になるのだと感じました。最近はプロジェクト型の学習もどんどん増えていますよね。決まった答えを目指すわけではないので、自然と紆余曲折が起こります。そのときに頼りになるのは、自分の「〝なんとなく〟こっちかも」といった感覚を信じて、見えないなりゆきを進む力ではないでしょうか。今日も写真を選ぶだけで、生徒たちは大いに悩んでいました。でも「自分が〝なんとなく〟納得できるものを1枚選ぶ」だけで、思考のトレーニングになりますよね。作文も、本来は「なんとなく思ったこと、気づいたことを言語化する」ものだと思うのです。なんとなく選んだものについて観察して、自分の言葉で説明するというのは、「気づき、考えること」そのもののトレーニングになりそう。同じ〝なんとなく〟でも、スマホを見てなんとなく日々が過ぎていくのとは少し違うモードに変わる。「Feel度Walk」は、気づきの千本ノックのようですね。そのとおりです。生徒たちは「〝すごく好き〟と言えるほどではないと、好きとか、面白そうとか、言ってはいけない」と萎縮しています。「Feel度Walk」で発表するときの、生徒たちの自信に満ちた表情は「私にも見つけられた」心の叫びだと思うのです。客観的にものを見る観察力と、自分の〝なんとなく〟を信じられる感性や自信。その両輪があってこそ、その場で没入し、気づき、考えることができるはずです。体験学習というと「特別なことをやらなければ」と、つい気負ってしまいがちです。さらに活動後、生徒たちが気づきを言語化できないと「何も感じていない、考えていないのでは」と評価しかねません。でも本当はそんなことはないのです。「Feel度Walk」では、正解やほかの人との比較にとらわれない「小さな発見」は、どこでも、どんな体験からもできるのだと生徒たちに気づかせます。そして小さな発見を通じて自信をもたせ、生徒の自由な感受性を伸ばすのです。今気づいた発見、その一つから直線的に学習につなげるのではなく、ひたすら「雑」をアーカイブし、量を貯めることで、新たな学びとなる抽象的な気づき・問いへと〝自ずとつながっていく〟ことを狙っている。だからこそ、この「気づきの筋トレ」の継続は、探究活動の基礎になるのです。社会に出てからも、こうした小さな気づきを見過ごさず、日常的に集めている人が、新たなアイデアを生み出していくはずです。小さな発見を信じる力  152022 OCT. Vol.444新井先生市川さん岡本先生市川さん

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