キャリアガイダンスVol.444
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です。「こういう技をかけたら、相手はこうくるだろう。ならば、こういう練習をしといた方がいいな」という具合に。イメージトレーニングが行き過ぎて、勝ったときのインタビューで話す内容まで考えていました(笑)。今も、頭に映像を浮かべながら「こうなったら楽しいね。お客さん長蛇の列だね。じゃあテーマパークみたいにしちゃおうか!」といった話をお店のみんなに話し、イメージを共有するようにしています。お客さまが何を求めているかを考えるところからすべてが始まるのも、相手を知り、戦略を立てる柔道と同じでした。私は筋肉がつきづらく、日本一まではなれても、力だけで世界と戦うには限界がありました。そのため、技術でカバーするだけではなく、相手の力を削ぐにはどうすればいいか、という戦略も常に立てていました。例えば、さっきまで控室でニコニコしていたのに、試合が開始するや、顔を少し下げ、上目遣いで睨むことで、相手にほんの少し力みが生じます。そうした目つきのため「野獣」と呼ばれるようになったわけですが、意識してのことでもあったんです。今、店舗に入るとき、「おはようございます!!」と大きな声で挨拶するのも、場を明るくするため意識してやっていることなんです。高校生のなかには、部活動引退後、次の目標が見つからないとか、他のことをする自信がないという子もいるでしょう。そうした気持ちはとてもわかります。私自身、一度高校を退学し地元に戻っていますし、アイス屋になると決意するまでは、「何したらいいんだろう。何ができるんだろう」と悩んでいた時期もありました。でも、「目の前のことをがんばっていれば、次、何かしたときにつながることがあるはず。そのためにも今をがんばろう」という気持ちがありました。今の自分が、未来の自分を応援してくれるはず。そんな風に考えてみてはどうでしょうか。高校時代、一つのことに打ち込む体験は貴重です。今をお腹いっぱいになるまでがんばると、「次はどんな自分に出会えるんだろう」という気分にもなれるでしょう。今の私の夢は、世界進出し、アイスを通    か?オリンピックの後に大勢の人から「元じて世界中の人を笑顔にすること。というのも、知人から「今、何やってるの?」と聞かれ、「アイス屋」と答えると、「えっ、アイス!?」って不思議とみんな笑うんですよね。学生に「アイス食べる?」と声をかけると「食べる、食べる」って、さっきまで下を向いていた子が笑顔になる。すごくないです気をもらった」と言われましたが、アイスにも人を笑顔にする力があるんです。今の自分が、未来の自分を応援してくれるはず17【上】現役時代の松本 薫さん。【右】乳製品、白砂糖、小麦粉、トランス脂肪酸を含む食材を使用しないなど健康やアレルギーに配慮した商品。東京富士大学1階のダシーズ ギルトフリーアイスクリームラボは、コロナの影響で現在休業中だが、通販および全国の取扱店で販売中。罪悪感なく食べられるアイスを作りたいという夢実現のため柔道引退後のセカンドキャリアとしてアイス事業を開始。開発・販売スタッフとして働きながら、柔道との共通点や相違点があることに気づく。お客さまが何を求めているか考え戦略を練ったり、先を読みイメージを膨らましたりしながら、みんなに笑顔を届けるべく奮闘中。2022 OCT. Vol.444まつもと・かおり●1987年石川県生まれ。6歳から柔道を始める。金沢学院東高校(現 金沢学院大学附属高校)2年次にインターハイ優勝。帝京大学卒業。2009年より本格的にワールドツアー参戦。ロンドン五輪金メダル、リオデジャネイロ五輪銅メダル。2019年2月に引退。ダシーズ ギルトフリーアイスクリームラボでアイスの製造と新フレーバーの開発を担当。二児の母。

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