体験学習は、座学での教科学習を越えた教科横断的な学びや、問題発見や問題解決能力の育成など、多様な教育的効果を目指して実践されている。さまざまな体験を通して生徒たちが本質的な課題や自身の興味・関心に気づき、将来のキャリアや社会人生活に役立てられることが理想だ。ある具体的な体験をしたときに、出来事の表面だけを見て得た気づきや課題では、他の体験に活かすことができない。体験を一旦、抽象化、一般化して本質的に捉えることで、ほかにも応用ができるようになり、そのときに体験が血肉となっていく。学校現場で実践している一つひとつの具体的な体験を、生徒たちがほかにも応用できる学びに昇華させるためには、「具体」と「抽象」を行き来できる思考力が必要となる(図1)。その力はどうしたら育むことができるのだろう。そこで、「考える」ことについて著作やセミナー活動で活躍するビジネスコンサルタントの細谷功氏に、体験から「具体クショップを先生たち向けに開催してもらった。参加していただいたのは、宮城の県立高校で初の探究科を設置抽象」の思考を体感するワーした宮城第一高校の先生方だ。同校の探究科では2年次から「国際探究科」または「理数探究科」のいずれかを選択する。今年度から始まった探究科に入学した1年生たちが、自身の興味関心を広げるために、フィールドワークなどの体験学習に現在取り組んでいる。 次ページ以降、細谷氏のワークショップの様子をレポートする。「具体」と「抽象」の詳細についても、レポート内で細谷氏が解説していく。ワークショップで実践されたワークやミニ演習は、「具体」と「抽象」の思考を体感しやすい内容だった。学校での教員研修だけでなく、生徒向けの体験学習の参考にしてほしい。「体験で終わり」にしないための思考方法とは?【抽象レベル】【具体レベル】©2022-Isao Hosoya ワークショップに参加くださった宮城第一高校(宮城・県立)の先生方前ページまでの社会人インタビューで語られたように、体験から学びを得た人たちは、意識的/無意識的にかかわらず、個別の具体的な体験を一般化・抽象化して捉え直し、次に応用していたようです。では、「具体抽象」を往復する思考力はどのように育めばよいのでしょう。ビジネスコンサルタントの細谷 功氏に、高校の先生向けワークショップを実施してもらいました。田代勇輝先生千葉博幸先生講師21二瓶貴之先生1年次主任・生物科髙橋 就先生図1取材・文/長島佳子 撮影/加藤隆介2022 OCT. Vol.4443年生担任・数学科表面事象解決策1年生副担任・英語科本質的課題表面事象解決策1年生副担任・日本史※ダウンロードサイト:リクルート進学総研>> 刊行物>> キャリアガイダンス(Vol.444)細谷 功氏1964年神奈川県生まれ。ビジネスコンサルタント、著述家。東京大学工学部卒業。(株)東芝で技術者として勤務後、コンサルティング企業で活躍。現在はフリーで主に企業や大学向けに講演や研修会を実施。『具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ』『「具体⇔抽象」トレーニング』など著書多数。
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