体験から学びを得るために「具体抽象」の思考が必要なことを先生たちが理解したうえで、細谷氏はなぜその思考が求められているかを解説した。安定期の時代は、ビジネスの世界ではお客さまの要望に応える「問題解決」で十分でした。しかし、VUCAと言われる変革の時代は、消費者や顧客企業自身が何が必要で何をしてほしいのかわからなくなっているのです。少ない情報から企業側が「問題発見」することが求められています(図6)。何が正解かわからない状況で、問題を探っていくためには、攻めの姿勢にはあってコンビニにないものを考えるケースと、コンビニでは扱えなさそうなものの概念(大きい、高価など)から考えるケースがありそうだ。経験から具体的な売場をイメージをする方法(知識・経験型)と、抽象化して分類しながら思考する方法(思考型)の、普段意識していない2つの頭の使い方を体感できる演習だったのだ。(図7・8)。*思考型の頭の使い方は時間がかか * えた発想ができ、経験を膨らませてるかもしれませんが、応用がきくため、たくさんの答えを導き出すことができます。抽象化することで、自分が経験したもの(見たもの)を超いくことができるのです。「具体変革の時代に必要な力抽象」の思考はでプロトタイピング(試作)を繰り返すことが重要となります。つまり「とにかくやってみる」ということです。最初は合格点を下げて試作を繰り返し、改善しながら新しいものを創造していくのです。「具体抽象」の往復は、試作を繰り返すときに欠かせない思考です。ここで細谷氏は新たなミニ演習を提示した。テーマは「コンビニで売っているもの/いないもの」。それぞれ30秒間で、できるだけ多く書き出してみる演習だ。数や正解を求める目的ではないため、答え合わせはせず、細谷氏は「それぞれどうやって考えましたか?」と先生たちに尋ねた。例えば、「コンビニで売っているもの」を考えるときは、行ったことのあるコンビニの売場をイメージして、そこで見たものを挙げるケースが多そうだ。一方で「コンビニで売っていないもの」の場合、「ない」ものを考えるために、コンビニ以外のお店をイメージしてそこ2つの頭の使い方を演習で体感してみるイメージのままの知識・経験型よりも、分類によって抽象化された思考型の方が、より多くの発想を期待できる。知識・経験型と思考型の2つの頭の使い方を、人は状況に応じて無意識に使い分けている。「コンビニで売っているものは?」は素早く書き出していた先生たち。「売っていないもの」は少し迷いながら考えていた。世の中が安定していた時代と、現代のような変革期では求められることが対極的に変わってきている。2022 OCT. Vol.44424図8図7図6売っているものは何か、売っていないものは何か?コンビニで
元のページ ../index.html#24