高校生のうちに「具体思考ができるようになると、人間社会にある「見えないもの」(=抽象)がより多く見えるようになり、一生続く人生や世界の見方が変わります。例えば、周囲の人たちとのコミュニケーションの行き違いの原因を理解したり、それに対処したりすることができるようになります。また、「なぜ勉強する必要があるのか」が理解できるようになって勉強することが楽しくなるはずです。特に教科書に書いてある「これって将来何の役に立つんだろう?」と思っていたことが、なぜ必要なのかを理解できるようになるのではないでしょうか。今回ワークショップに参加いただいた先生方とお話しすることで、「知識重視」であった旧来の教育を変えるべく行われているさまざまな取組を知ることができ、今後ビジネス界とのつながりへの刺激を頂きました。世の中の知的能力に対するニーズは大きく変わってきています。従来の「教育の常識」を破って、自ら能動的に考え、いろんな角度から世界を見て、体験を社会や人生で活かせる生徒さんを育成してほしいです。抽象」の「具体 学ぶことが楽しくなる抽象」ができると 生物科教員として普段の授業から、「原理原則をしっかり理解し、変化球的な問いが来ても対応できるように」とか、「理解したことを人に説明できるように」ということを意識してきました。それが「具体抽象」という概念と共通するとわかり、腑に落ちました。 今年から本校で始まった探究科の1年生たちは、現在フィールドワークなどで実践を積み重ねている段階です。体験から「具体」をたくさん集めてミニ探究を回しながら、2年次以降でやりたいことを探しています。生徒たちに「つまり何がしたいの?」という声かけをするなどして、生徒たちの「具体抽象」の思考を促していきたいと思いました。 実はワークショップ前に細谷さんの著書を読み、テーマを把握していたにもかかわらず、マシュマロ・チャレンジではテーマを忘れて無我夢中になり、振り返りで我に返りました。このような体験から本題を考えるワークは、生徒たちともやってみたいと思いました。 日本史教員として、昔の出来事から得た知識を生徒たちが自分ごと化する難しさを常に感じていました。「歴史を抽象化させることの意義」を生徒と共有できれば、時代の違いを「自分とは異なる他者理解」と捉える見方・考え方もできるのではないかと気づきました。このワークショップが体験学習だけでなく教科での切り口を見出すきっかけとなりました。千葉先生 マシュマロ・チャレンジ後の振り返りで、先生たちから多数の意見が出るなか、「カテゴリーが混在しているな」という違和感をもちながらも制限時間内では分類できませんでした。細谷さんの解説で抽象化できているものとそうでないものの混在だったと腹落ちしました。その違和感と腹落ちも、実際にマシュマロ・チャレンジを体験したからこそ体感できたこと。今日のワークショップ全体で、自分自身が「具体抽象」を往復していたことに気づきました。 英語科の授業でも、生徒たちのグループワークで「共通して大事なことは?」などの問いを出して、「具体二瓶先生抽象」を往復する取組をやってみたいです。 数学科という特性から「具体抽象」の思考は日頃の授業でも取り入れてきています。しかし、生徒たちは「具体」を求めがちなので、抽象化の大切さを意識していきたいと改めて思いました。 今日のワークショップで印象的だったのは、「とにかくやってみることが大事」であることが「具体抽象」の思考と関連しているということです。普段の授業でも生徒たちは唯一解を、正攻法で求めようとするあまり、思考や手が止まってしまうことが多くあります。そのときに、「やれることは片っ端から試してみよう」と声かけしてきたことが、「具体抽象」の観点からも間違っていなかったことがわかって良かったです。髙橋先生 2022 OCT. Vol.44426田代先生探究科で体験を重ねている生徒たちに体験を抽象化できる声かけをしたい「具体抽象」の思考を学び、教科での新たな学びの切り口を見出せたワークショップに参加した体験のなかで「具体抽象」を往復していました「具体」を求めがちな生徒たち試行錯誤の大切さを伝えていきたい
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