日々の体験から本質的・汎用的なことをつかんだり学んだ概念を次の具体的な行動に生かしたり。生徒自身による「具体」と「抽象」の行き来を通して知見の獲得や応用を推し進めている実践をご紹介します。各実践校のワークシートほか、さまざまな資料は小誌ホームページよりダウンロードできます(欄外参照)。あわせてぜひご参照ください。茅ケ崎西浜高校(神奈川・県立)鈴木のり子先生名寄高校(北海道・道立)濱中聡志先生27調理手順をなぜその順番にしたのか、生徒に理由まで尋ねて意図を明確にさせている。 茅ケ崎西浜高校では、2016年度から現在まで、プログラミング教育研究推進校として、すべての教科でプログラミング的思考を取り入れた実践を進めている。プログラミングでよく使われるフローチャート図などを応用して、生徒が①行動を分けて捉え(場合分け)、②より良い組み合わせ(順序立て)を、目的に応じて考える(多面的な見方)というように。 例えば家庭科の調理実習。調理内容を図解したシートで「グループで調理する手順」を考え、実践、記録。次に「一人で調理する手順」も考える。すると「条件や目的が変わると手順も違ってくる」ことに生徒は気づく。調理の流れを場合分けして抽出し(具体→抽象)、組み合わせを変えれば、調理実習の学びは今後の多様な調理に生かせるのだ(抽象→具体)。 「昆布を水につけている間に洗濯機を回す」など、家事全般へ視点を広げ多面的に考えた生徒もいた。 今年度からは、思考の技法を「分類する」「順序付け」「多面的・多角的に見る」「比較する」など10通り示し、それらを生徒が意識的に使い分けていけるように、授業で何をどう考えたか問うことも全校で推進している。2022 OCT. Vol.444現在はこの思考の技法で「何を考えるのか」という、生徒の探究テーマ発見にも力を入れている。※ダウンロードサイト:リクルート進学総研>> 刊行物>> キャリアガイダンス(Vol.444) 名寄高校は、2020年度より「探究的思考ツールの開発」をテーマにカリキュラム・マネジメントや発展的な学習指導に取り組んでいる。その一環で生み出したのが、考えるための技法を可視化した「名高探究スキル」だ。①多角的・多面的に見る、②比較する、③分類する、④順序づける、⑤理由づける、⑥見通す、⑦具体化する、⑧抽象化する、⑨関連づける、⑩構造化するという手法を、アイコン化して生徒と共有(1年次に説明)。教科学習や探究活動で生徒が何らかの課題に挑むとき、どのように考えるのが有効かを、教室に貼ったアイコンのマグネットや、ワークシート記載のアイコンで示し、生徒の思考を活性化させている。 例えば社会科の授業。「地方自治」の意味を調べ、その学びも生かして「どんな取材・文/松井大助(27〜28ページ)、藤崎雅子(29〜31ページ)学校にしたいか」「どんなクラスにしたいか」を各自が考え(抽象→具体)、さらに「学校づくりとクラスづくりの違い」という概念的なことまで考える(具体→抽象)という取組では、ワークシート記載の「関連づける」「比較する」という手法を使って生徒が思考をめぐらせた。
元のページ ../index.html#27