キャリアガイダンスVol.444
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ソーシャルスキルとは何かが網羅されている一冊。学術的な背景からトレーニングの実践に向けた理論まで、わかりやすく解説されている。中学生対象だが、高校生にも通じるSSTの実践のためのガイドブック。具体的なプログラム内容や指導案・ワークシートなど詳しく紹介されている。 挨拶など、昔から「しなさい」と言われ続けてきたルールや決まり事に抵抗感を示す生徒も少なくありません。しかし、それがあるからこそ人間関係が円滑に進んだり、排除されずに済んだりします。余計な波風を立てることなく、人とつながっていくためのものとしてソーシャルスキルの大切さを生徒に伝えたいものです。 ソーシャルスキルは1日ではなかなか変わりません。気長に、さまざまな機会を通じて積み重ねていく必要があります。本来ソーシャルスキルトレーニングは、年間を通じた構成的なトレーニングとして考えられたものです。しかし、進路指導の場面でこそ、生徒がその必要性を実感しやすいので、何かしら形を変えて生徒自身の気づきの機会につなげてもらえればと思います。例えて言えば、山本五十六の「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」が、ソーシャルスキルの獲得で重要な点です。ぜひ、社会とうまくつながっていけるよう、生徒を支えていただければと思います。『新版 人づきあいの技術−ソーシャルスキルの心理学』相川 充著(サイエンス社)『実践! ソーシャルスキル教育−中学校』相川 充・佐藤正二編(図書文化)2022 OCT. Vol.444※相川 充著『新版 人づきあいの技術−ソーシャルスキルの心理学』249ページより作図ロールプレイや模擬面接などで練習していたことは、特定の対人場面に限定されています。それが、日常生活における別の対人場面などでも実行できたり、応用できるようになることが大切です。そのためには、言葉で促すだけでなく、一定の目標を設定して、それができるように促したり、実践しやすい仕組みを設けることも必要です。何かしらの宿題や課題にしたり、それに対する報酬やフィードバックも与えることで、より行動や意識を強化していく必要があります。実践した行動に対して、フィードバックを行います。できていたことや、良かったことなどを誉め、修正すべきところを気づけるようなフィードバックを行います。フィードバックでは、もちろんその行為や態度を調整する機能を果たしますが、それと同時に、やる気を促すことも大切です。そのため、「ここがまだできていない」といった否定的な評価ではなく、「もっとこうすれば良くなるね」などの肯定的な伝え方を心掛けます。肯定的な反応は、喜びとなり、さらにまた実行していこうという自主性にもつながります。「だめだ」「ここが悪い」という批判的な見方ではなく、「ここは良い」「嬉しい気持ちになる」「もっとこうなると良い」など、肯定的な見方ができるように促すことが大切です。ソーシャルスキルは学習によって身につくものとして、一連の手順を踏むのがソーシャルスキルトレーニング(SST)です。SSTの標準的な方法は図のような流れで行われます。しかし今回は、進路指導の場面に当てはめるため、アセスメントを省いた教示〜般化までのステップを参考に考えてみたいと思います。ポイント社会のルールを守ることが生徒自身を守ることを伝えたい苅間澤先生のワンポイントアドバイス35● ソーシャルスキルトレーニング(SST)SSTの標準的な方法例えばこんな場面で挨拶週間などを設けポジティブフィードバックを増やす1週間や2週間など、挨拶週間を設け、意識的に挨拶がしっかりできるよう促します。朝礼や授業の挨拶など、元気にしっかりできたことをフィードバックしていき、習慣化していくことが大切です。般化アセスメント例えばこんな場面で生徒同士、お互いに良い点をフィードバックしてもらう集団での面接練習や、挨拶の練習などを行った際、生徒同士、お互いにできていたことを中心にフィードバックし合ってもらうと良いでしょう。また、挨拶をしてもらったことで、どんな気持ちがしたかなど、受け手としての感想も話してもらうと自分の行動変化に結びつきやすくなります。肯定的な視点を意識するアセスメント導入教示モデリングリハーサルフィードバック

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