キャリアガイダンスVol.444
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9年前、進路指導部長だった梅川先生が課題に感じていたのが、生徒の知識や情報の偏りだった。「今の時代は、知りたいことを調べるツールも情報もたくさんあり、生徒たちは日々、雑多な情報に触れています。そうしたなか、生徒は自分が興味のあることは知っているのだけど、それ以外の情報が入ってきていないなと感じていました。おじいちゃん・おばあちゃんの話を聞いたり、テレビでニュースや大河ドラマを見るともなく見たりしているうちに、自然と知識が入っていた、社会のことを学んでいた…というインプットの機会が減っているのも一因だと思います。視野が狭く知識が限定的な状態で将来の進路を考えても、社会にはどんな課題やニーズがあるのか、自分は社会のどの部分を担いたいのかは見えてきません。そこで、社会の状況を生徒に届けたいと思い、新聞記事を1日1つ読ませるという取組を始めました」(梅川先生)「新聞記事を毎日読もう!」と名づけたこの取組では、月曜日から金曜日まで毎日、新聞から1つの記事を抜粋し、学年・コース問わず全生徒に配付している。記事を選ぶのは、先生たち。校長や教頭を含めた全教員が順番に担当している。「教科はもちろん興味・関心事も個性も教員により違うので、選ぶ記事もさまざまです。ジャンルも新聞社もお任せしているので、コラムやオピニオン記事もあれば、政治、科学、文芸、デジタル、スポーツなど実に多彩で、教員によっては独自にコメントを入れたり記事に関連する解説や設問を追加したりするケースもあります」(梅川先生)「私自身は、デジタルやネットワーク系の分野に関心があり、自分が興味をもった記事、かつ、生徒の生活や感覚とかけ離れすぎていないものを選ぶようにしてい教員が選んだ新聞記事を毎日1つ読み、意見を書く37左から、校長の佐本一晃先生、進路指導部長の梅川恭代先生。取材・文/笹原風花2022 OCT. Vol.444 和歌山県、大阪府、奈良県の県境に位置する初芝橋本高校。母体の大阪初芝学園は2008年に学校法人立命館と教学提携を締結しており、同校にも「立命館コース」が設置されている。国公立大学を目指す生徒から、プロのスポーツ選手を目指す生徒まで多様な生徒が学ぶのも特徴。スポーツ強豪校としても知られており、特に全国レベルの強さを誇るサッカー部からは、プロサッカー選手も多く輩出している。 卒業後は、いずれのコースでも大半の生徒が大学進学を希望。進路指導においては、コースごとに生徒の希望する進路に応じた指導をしているが、全生徒を対象にした取組も少なくない。なかでも特徴的なのが、新聞の記事やコラムを活用した指導だ。クラブ活動で忙しいスポーツコースの生徒も含め、全生徒が取り組んでいる。 自己分析や大学調べが甘いまま安易に進路を選択した結果、大学進学後にミスマッチで中退してしまう卒業生がいるという課題を踏まえて、昨年度からは「セルフデザイン」を軸に据えた進路指導を実践。自分で考え、決め、行動する力の育成に力を入れている。今後は進路指導にとどまらず、学校全体の柱として打ち出していく予定だ。1991年開校/プレミアムコース、総合進学コース、立命館コース、スポーツコース/生徒数430人(男子331人・女子99人)大学進学134人、短大進学2人、専門学校進学7人、就職0人、その他(受験準備など)6人大学進学者の多くが近畿圏の私立大学に進学。なかでも提携する立命館大学や立命館アジア太平洋大学には推薦枠があり、例年、「立命館コース」から30人程度が進学している。初芝橋本高校(和歌山・私立)

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