キャリアガイダンスVol.444
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換えるという取組だ。毎週金曜日に、週末の課題として全生徒に配付している。 「あるセミナーの事例紹介で知った取組で、私自身、国語科の教員であることもあり、これはいいなと思い校長に相談しました。漢字力、語彙力に加え、読解力や書く力の向上も期待できますし、近年は大学入試で小論文が課されるケースが増えており、良い文章に触れて文の型を身につけることは、その対策にもなります。進路選択に不可欠な世の中のことや多角的な見方を知ることも含め、まさに一石二鳥の取組だと自負しています」(梅川先生) 「新聞記事を毎日読もう!」、「すべてひらがなの新聞コラムを漢字かな交じり文に直そう!」の取組を通して社会に目を向けるようになった生徒たちに、梅川先生が望むのが、「自分の意見をもつ」ということだ。 「ただ面白いで終わるのではなく、この書き手の意見・視点には共感できるな、自分はこの人とはちょっと違う捉え方をしたな…というところから、少しずつ自分なりの意見やものの見方が形成されるのだと思います。また、記事を読んだり 「新聞記事を読ませる、書かせる、進路コラムを書き写したりしているうちに、意見の根拠も蓄積されていきます。そうしたものが融合して、『これについてどう思うか』と尋ねられたときに、何かしらアクションができるようになってくれたらと思います」(梅川先生)こうした取組を続けるなかで見えてきた次なる課題が、「自分からやる・自分で決める」という力を育てることだった。を選ばせるなど、私たち教員が〝させる〟という状態で止まっていては、生徒に自ら考えて行動する力はつきません。生徒を見ていると、志望校を目指して勉強するぞとスイッチが入ると、新聞記事などへの取り組み方も能動的なものへと変わってきます。一方、安易に進路を選んだが故に、ミスマッチを起こして大学を辞めてしまう卒業生も見てきました。そこで、自分で考え、自分で決め、自分から行動できる力を育てようと、昨年度から新たな取組を始めました」(梅川先生)こうして始まったのが、「セルフデザイン」だ。月〜金曜日の7、8時間目と土曜日の1〜3時間目を、生徒がやりたいことを選択して取り組む時間にあてている。月〜金曜日の7、8時間目には5教科の講座「進プロ」、土曜日は「スタサタ!」を開講し、生徒は講座を受講しても、自習や自主活動、クラブ活動などにあててもいい。自分で計画を立て、担任と面談しながら決めていく。「スタサタ!」は、1時間目はNHK講座の視聴、2時間目は英語音声・字幕での映画鑑賞、3時間目は進路講座で、なかでも進路講座は充実のラインナップとなっている。 「進路を考えるうえでヒントになるような話を聞ける講座ということで開講しています。卒業生に大学生活について語ってもらう回もあれば、大学の先生に専門分野の話をしていただく回も多く、例えば、右脳と左脳、マーケティング、生殖細胞の保存など、テーマも多岐にわたります。進路講座は生徒にも大人気で、毎回、中学生も含めて多くの生徒が受講しています。長く生徒を見てきて実感するの新聞の取組は、最初は少し面倒でしたが、習慣化すると苦ではなくなりました。記事を読んで意見を書くうちに、読んだ内容や視点が自分のものになっていく感覚があり、コラムの書き換えも語彙力や書く力の増強にかなり役立ちました。進学する学部に迷っていたのですが、3年次に読んだ本でマーケティングに興味をもち、経営学部を選びました。大学では授    業の最後に簡単なレポートを書く機会があり、感じたこと考えたことをその場で表現できるのは、高校時代の積み重ねがあったからだと思います。(真央さん)僕は国語に苦手意識があり、これをやったら力がつきそうだと思い、特にコラムの書き換えにはがんばって取り組んでいが、どこでどんな出合いがあるかわからないということ。出合いや気づきのタイミングも生徒それぞれです。だからこそ、生徒が自分に刺さる何かを見つけられる機会や材料を、提供することが大事だと思っています」(梅川先生) 「セルフデザインを学校全体の軸に据え、進路指導においては、自分の適性を知ろう、社会を知ろう、そのうえで、自分で進学先を選び、自分で勉強しよう…という流れをつくっていきたいと考えています。そして生徒には、大学進学だけでなく今後の人生の節目において、自分でしっかり考えて決断し、行動に移すことができるようになってほしいと願っています」(佐本校長)ました。最初は漢字が全然わからず、調べながら書いていたのですが、続けるうちに自然と書けるようになり、読む力や考える力がついたことも実感しました。また、「進プロ」で、通常授業では理系は受講できない論文講座を受講できたのもよかったです。(望天さん)自分で考え、自分で決め、自分から行動できる力をつける■■■■39後から気になった記事を読み返せるよう、取り組んだプリントは学期ごとにファイリングすることを奨励している。左から、卒業生の堀田真経営学部3年生)、望央さん(立命館大学天さん(同1年生)兄弟。2022 OCT. Vol.444

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