キャリアガイダンスVol.444
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 本校では、どのような状況でも自らの力を発揮してたくましく活躍できる人の育成を目指しています。「三高生三本の柱」である、学業、部活動、自主活動のすべてにおいて主体性をもって取り組むことを生徒には期待しています。 「主体性」は「主体的に学びなさい」と指示をして発揮できるものではありません。生徒たち自身の内発的な動機をもって「楽しい」「やってみたい」と実感してこその主体性です。教科・科目の授業のなかでそれを見つけることが容易ではない生徒も少なくありません。 そこで本校では、教育課程外の活動を活用して、生徒が興味・関心をもつ取組に自主的に参加することで、主体性を体感できる場を複数設けています。 その一つが「虎丸ゼミ」です。放課後や休業日に実施する自由参加のゼミで、外部から講師を招き、多様なテーマで実施しています。自分たちの興味で参加しているので、会場は前席から埋まり、生徒自身が交三本松高校(香川・県立)432022 OCT. Vol.4441903年創立。全日制課程(普通科、理数科)、定時制課程。生徒が自主的に活動する複数の生徒プロジェクトでは、外部のアワードを多数受賞。全国大会常連の運動部もあるなど文武両道で生徒が活動している。渉して運営するゼミも出てきました。 もう一つの特色ある活動が「三高みんなの食堂プロジェクト」(以下、食堂プロジェクト)です。少子化により学食の健全運営が課題となっていたため、運営を業者から地元の農業生産者に引き継ぎ、生徒が活動できる学びの場とすることとしました。具体的には広報活動、メニュー開発、内装デザイン、食器リペア、野菜生産などを生徒が担い、自主的に手を挙げた56名のリーダーを中心に生徒全員が何らかのかたちで参加しています。地産地消や食品ロスにも取り組み、食堂だけでなく地域の活性化にも貢献しています。 現在、食堂プロジェクトを総合的な探究の時間の活動の一部としても取り入れています。課題研究のテーマとして地域課題に取り組む学校が多いと思いますが、本校の生徒にとってはより足もとに近い「校内課題」の方が自分ごととして捉えられ、解決に向けた提案に得意を発揮して実践できると考えています。そして、食堂プロジェクトのように校内課題が、社会とつながっていることへの気づきになると思います。 総合的な探究の時間以外でも、教科外で育んだ主体性を、教科での主体的に学ぶ姿勢にもつなげていきたいと考えています。 これらの取組を進めるにあたって校長として意識してきたのが、教員に負荷をかけないことです。生徒たちに体験の機会を増やすことと同様に、業務過多である教員の負担軽減も大事です。教育課程外の活動は生徒主役の活動で、固定の担当教員はつけず、教員の関わりも主体的に任せていて、適宜力を発揮してくれています。 もちろん、校長一人では何事もできません。教員だけでなく、地域の方々や同窓会などとつながり、力を借りることで、できることが増え、学校は元気になっていきます。いずみたに・としお/1962年生まれ。広島大学理学部生物学科卒。大学時代は植物学の研究者を志していたが、教育実習で訪れた高校で生徒たちと関わり、自分が伝えることで興味をもったり楽しそうに喜んでくれる姿を見て、学びの共有に魅力を感じ、教員を目指す。1986年三本松高校に生物科教員として初任。香川中央高校教諭、県教育委員会高校教育課指導主事、小豆島高校教頭、土庄高校教頭兼小豆島中央高校開校副準備室長を経て、2017年、小豆島中央高校(小豆島高校と土庄高校の統合校)初代校長に就任。2020年より現職。まとめ/長島佳子 撮影/上田 純生徒が自ら「やってみたい」と手を挙げるプロジェクトを提供教育課程外活動を介して授業内容と社会がつながっていく

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