キャリアガイダンスVol.444
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外側から与えられる課題ではなく、自分の内側から力強く立ち上がってくる問いにどう向き合うか。小さな違和感やちょっとした疑問をトリガーにして、この先の探究活動につながる深く大きな問いに出合っていくプロセスを、「編集工学」の観点からご案内してきました。第1回では、「たくさんの私」を解放する遊びのような演習を通して、「私」という問いの土壌をほぐしました。第2回では、自分を取り囲む情報にたくさんの見方を与える「地と図」のからくりについてお話ししました。凝り固まった見方を動かして、極力たくさんの方向から自分自身や周囲の物事を捉え直すことで、考えてもみなかった違和感や疑問や関心が顔を出し始めます。ここまでくれば、あとは問いの兆しを        捕まえて一気に芽吹かせる段階です。第3回では、本を活用して問いの発芽を促す「探究型読書」というメソッドをご紹介しました。本と出合い、著者の視点を借り、人と対話をする過程で、自分の中で動き出そうとする好奇心を発見していきます。「探究型読書」の最後に導かれる「最も心を掴まれた問い」が、「私」という土壌に根をはろうとする「問いの芽」に当たります。ただ、芽吹いたばかりの問いは、どことなく貧弱で、確信に欠け、心もとないことでしょう。「本当に問う価値のある問いなのか」「これを問うたところで何になるのか」、そんな疑念が頭をよぎるかもしれません。まだ「問いの芽」と自分の内面がしっかりつながっていない状態です。その心もとなさは、いずれ分け入っていく探究の道の、まさに入り口にたどり着いたということでもあります。ここで止まってしまわずに、もう一歩踏ん張って、まだ見ぬ世界に進んでみましょう。まっさらな目で「問いの芽」と向き合っていくなかで、「半信半疑」が何かしらの「確信」に変わる瞬間が訪れるはずです。何かを「まっさらな目」で見るためには、そのことを一度「アンラーン」する必要があります。「アンラーン」とは、ある事象に対してすでに身につけた知識や見方を保留して、新たな目で捉え直す試みです。「学びほぐし」と言ったりもします。人間の知性は、何かを新たに身につけるよりも、身につけたことを忘れるほうが苦手です。「アンラーンしよう」と思うだけでは、一度染み付いた「そういうものだ」という常識や思い込みはなかなか退いてくれません。ここでは、「アンラーン」に向かうためのコツをお伝えします。何かを本質的に考えたいときは、一度柔らかな土壌に芽吹く問い「問いの芽」から世界を捉える「アンラーン」と「そもそも思考」アンラーンのコツ 歴史の「はじまり」をたどるその1:探究活動からイノベーションまで、世代や領域にかかわらず今問われる「問う力錬するにはどうすればいいのか。第4回となる今回はいよいよ、探究学習における「課題の設定」のステップに当たる、「問い」の結像についてお話しいただきます。」。「答え方」ではなく「問い方」を鍛2022 OCT. Vol.44444編集工学研究所 安藤昭子

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