キャリアガイダンスVol.444
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的に連携を進めるうえで大切です。加えて、地域の方一人ひとりが教育に関心をもって学校に関わっていただくことも大切です。そして、生徒たちが地域でいきいきと活動しているのを見て喜んでくださり、一緒に何かやりたいという声につながっていくのだと思います」(玉木さん)トライ&エラー期にあたる2学年では、1学年の活動で広げた興味関心を発展させ、やってみたいと思ったことに個人またはグループで挑戦する「プロジェクト活動」がメインとなる。しかしながら生徒の状態には幅があり、1年生のころから課外でプロジェクトに取り組んできた生徒もいるが、まだやりたいことが見えていない生徒も少なくない。そこで、年度初めに生徒アンケートを行い、気になる・やってみたいプロジェクトのタネについて、「もっていない」「なんとなくもっている」「割とはっきりもっている」「もっているが迷いもある」の4択で聞き、 生徒の状態を把握。まだやりたいことがない生徒には外部イベントや人を紹介するなどの支援を行い、やりたいことが明確な生徒には自走を妨げない距離感でもう一段高いチャレンジを促すなど、各状態に合わせた支援を行っている。 「実際にやってみて見えてくることもあります。まずは『いったん決めてやってみて、ダメだったら変えればいい』ぐらいの感覚で後押ししています」(玉木さん)生徒はそうして「やってみたい」をテーマ設定につなげ、教員やコーディネーター、地域の人の伴走のもと、自らが主体となって探究活動を行う。例えば、地域の交流を促進したいと考えた生徒は、町を会場にした「津和野文化祭」というイベントを企画。地域住民と同校生徒が、ゲームや音楽、運動など共通の趣味嗜好を通3学年は「俯瞰・発展期」だ。各自の興例えば昨年度は、「NVC」(※1)のこうした一連のT-PLANの活動をら進路を絞り込み、その実現に向けて対策していく。 「生徒は進路に迷うとき、教員のほか、コーディネーターや町営塾の講師、地域の方にも相談しています。相談先が豊富にあるので、多様な視点からの意見が参考になるようです」(玉木さん)このようにT-PLANはプロジェクト活動を核にした3年間のプログラムだ。ほかにも地域協働による探究活動が行われている高校は珍しくないが、同校のプロジェクト活動は、生徒の主体的な取組が際立っている。「参画のはしご」(※2)になぞらえた生徒アンケートでは、参画の度合いの上位2項目(私たちが発案し、周りの小・中・高校生や大人を巻き込む/私たちが発案し、私たちが実行する)の回答計は8割に及ぶ(図3)。生徒の活動は、もはやカリキュラムの枠組みに収まらない。課程外でも生徒は自ら「小学生の放課後の居場所をつくりたい」「全国マネージャーサミットを開きたい」などと多様なプロジェクトを立ち上げる。また、同校最大規模の部活動「グローカルラボ」でも、生徒主体のプロジェクトがいくつも行われている。 しかしながら、入学当初から主体性や行動力のある生徒が多いわけではない。教職員も「大半は比較的おとなしい」と口を揃える。TPLANをはじめとして地域に出て活動するなかで、徐々に力して交流する機会をつくった(ntervi参照)。また、地域の重要な産業である米づくりを盛り上げたいと考えた生徒2人は、農家レストラン経営者と連携したり、農家に宿泊して農業体験を行ったりしながら、新しいフレーバーのポン菓子の開発に取り組んだ。 「プロジェクトを実行するとなると、大人の方への交渉など想像していなかった場面にぶつかり、たくさん失敗もします。そのなかで、高校生にもできることがたくさんあるのだと学んでいます」(木村さん)味関心に基づいて活動してきた1・2学年のT-PLANをさまざまな方法で振り返り、自身の変化を見つめ、卒業後の挑戦につなげる。手法を応用し、印象に残っていることとその時の感情、その感情がなぜ生まれたのか、その根本で何を大切にしていたかについて生徒同士で対話を行い、自己理解の深掘りをした。また、「2年間の活動を通して変わった自分」について文章で表現。その内容は学年全体の発表会で共有したり、中学生向けオープンスクールや学園祭で外部に向けて発信したりする。通じて、将来の目標の方向性が見えてくる生徒は多い。担任との面談を重ねなが一人ひとりの状態に合わせてプロジェクトを支援2年間の活動を振り返り進路目標の設定につなげるewおとなしかった生徒たちが互いに刺激を与え合い成長※1 NVC:Nonviolent Communication=非暴力コミュニケーション。アメリカの臨床心理学者マーシャル・B・ローゼンバーグによって体系化されたコミュニケーションの方法※2 アメリカの環境心理学・発達心理学者ロジャー・ハートが提唱した、大人の社会に子どもが主体的に関わる段階を表すモデル地域の人が講師となる「ブリコラージュゼミ」。建築模型づくりの講座(右)や、メロンパークでの農業体験(左)など講座内容は多彩だ。一対一の対話を繰り返す「トークフォークダンス」。幅広い年代の多様なプロフィールをもつ地域の人が参加。「プロジェクト活動」でハザードマップ作りに取り組むチーム。地域に出て情報収集を実施。2022 OCT. Vol.44452   -     I

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