キャリアガイダンスVol.445
14/66

生徒に育みたい力として主体性に重きを置く三本松高校。生徒たちの内発的な主体性を発揮できる場を提供しようと、教育課程外での生徒プロジェクトを複数進行している。 「主体性は『主体的に学びなさい』と指示されて育まれる力ではありません。自ら『やってみたい』と思うことで生まれます。本校では授業など従来の教育課程の枠の中で主体性を発揮することが容易ではない生徒も多かったため、まずは気軽に手を挙げやすい場を提供しようと考えました」(泉谷俊郎校長)泉谷校長が着任した2020年、少子化による生徒数の減少やコロナ禍により、学食の経営悪化が課題となっていた。そこで学食の運営を地域の農業法人に依頼するとともに、生徒たちの学びの場にもしようと考えたのが「三高みんなの食堂プロジェクト(以下、食堂プロジェクト)」だ。コンセプトは、「SDGsの視点をもって、持続可能な食堂をみんなで作り上げ地域を盛り上げる」。食堂に関心をもつことや、利用することも「参加」ととらえ、生徒全員を参加者としている。プロジェクト活動としては、食堂を良くするための課題を見つけ、自分の得意を生かすことができそうな分野で貢献したい生徒を「プロジェクトリーダー」と呼んでいる(2022年度のリーダーは52名)。あくまで自主的な立場のため、強制力はなく、評価もない。担当教員もつけておらず、先生たちも希望によって自主参加したり、生徒から求められたときに手助けする立場だ。 「評価がないので生徒たちは安心してチャレンジして失敗もできます。うまくいかないことを経験することも高校生には大切だと考えています」(泉谷校長)リーダーたちは学校の中心となって、畑、マルシェ、イベント企画、内装・装飾、メニュー開発、広報、総務の7チームで活動している。例えば、総務チームは活動に必要なお金の管理や食堂の利益を確保するための飲料の仕入や販売など、食堂の経営改善につながる活動をしたり、内装・装飾チームは地域産業の廃棄物や使われていないものを再利用して食堂のインテリアを作ったり、食器に使用したりしている。まさに起業家のような活動を実践しているのだが、泉谷校長は、アントレプレナーシップを意識していたわけではないと語る。 「主体性を育むために、食堂という身近な環境を提供しただけです。その身近さによって、生徒たちが自分で解決したいと思う課題を見つけやすく、助けが必要なことがあれば地域の大人に力を借りにいき、自分の強みを生かして挑戦できているので、結果としてアントレプレナーシップにつながっているのかもしれません」(泉谷校長)自分たちの学食を良くする生徒主体のプロジェクト(上)学食入口ののれんの文字は、地域産業の廃棄物である革の端材で内装・装飾チームが作成。(下)食堂を利用することもプロジェクトへの参加のひとつとして、全校生徒が関わっている。教育研究部1年生担当兼島 翼先生    ●生徒の自主的、主体的活動 ⇒できるときにできることをやる●全生徒が関わる(関心をもつ、食堂を利用する等も含め)●担当教員はつけず、教員も希望で自主的に参加。 生徒から質問や援助を求められたときに手を貸す★授業や部活、委員会ではないため、成績や評価に反映される 活動ではない(生徒の主体性を育む目的)★終わりはなく、後輩に引き継いで継続していく活動自分の得意を発揮して食堂の課題解決に貢献できることをプロジェクト化教育研究部部長3年生担当森 麻衣子先生※実質の食堂運営者地元の農業法人に依頼校長泉谷俊郎先生地域へ運営や調理を2023 JAN. Vol.44514少子化により学校の食堂が経営難状態食堂を学びの場としても活用しようと校長が発案生徒へリーダーが中心となって7つのチームで活動開始

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る