キャリアガイダンスVol.445_別冊
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2コロナ禍によるリモートワークで働き方の価値観が変わった人は8割以上に上る図1〜3出所/アントレ「コロナ影響下における働き方の意識変化調査レポート」(2020)取材・文/伊藤敬太郎 イラスト/ミヤザキコウヘイVol.445 別冊特集 かつての日本企業を支えてきた終身雇用が「崩壊した」と言われるようになって久しい。2019年には、日本を代表する企業であるトヨタ自動車の豊田章男社長が「終身雇用の維持は難しい」と発言したことが話題となったように、この流れはもはや不可逆だ。かつては当たり前だった「一つの会社で定年まで勤め上げる」という考え方がもはや通用しなくなっていることは読者の多くも感じているところだろう。 一方で、ここ数年、「働き方改革」「リモートワーク」「副業解禁」などが企業経営の世界ではキーワードとなっている。多くのコロナ禍で働く人の価値観に変化が企業が試行錯誤をしながら、長時間労働の見直し、働く場所や時間の制限の緩和、さらに自社以外の仕事をする自由を認める方向にシフトしてきている。 この二つの大きな流れが意味することは何だろうか。今の高校生が社会人となる将来に向けて、日本人のキャリア観や仕事観はどのように変化していくのだろうか。働く人の独立・起業を支援するWEBメディア『アントレ』編集長の平野 謙氏は、今、起きている動きを次のように解説する。 「終身雇用・年功序列の崩壊、副業の解禁などが起きている要因は大きく二つあります。一つは、不確実な時代に入り、企業が未来を予測できなくなったことです。これからの社会や市場の変化の見通しが立たない以上、自社で社員を定年まで抱え続けることは企業にとって大きなリスクとなりますから。もう一つは、日本社会全体でさらに少子高齢化が進み、労働力が不足してくることです。労働力を確保するために、企業は、もはや副業はダメだ、オフィスに来なければダメだと言っていられなくなりました。これらの動きはコロナ禍によって一気に加速。本来10年程度はかかるはずの改革が2年程度で進んだという印象です」 重要なのは、こうした動きは、単に企業の雇用や管理の制度が変化しただけにとどまらないという点だ。終身雇用などこれまでの支えとなっていたものがなくなり、代わりに副業や働く場所などに関する自由が与えられたことは、働く人の仕事や働き方、キャリアに関する考え方にも大きな影響を及ぼしていると平野氏は言う。 「今まで、仕事や働き方は会社が決めてきましたが、これからは働く個人が、働き方や組織とのつながり方を自己決定する『セルフシフト』が進んでいきます。働く人たちの間で一人ひとりの専門性や個別の職能が重視されるようになり、自分の身は自分で守る意識の高まりとともに、自分のライフスタイルを追求したい気持ちが強くなってきているのです」 アントレでは、コロナ禍前後の働く人の意識や価値観の変化リモートワークや副業解禁が一般化するなど、今、働く人たちの間で、これまでになかった大きな変化が起きている。こうした動きに伴い、人々の働き方はもちろん、より本質的な仕事観やキャリア観も大きな変化の時を迎えている。会社軸で生きる時代から、一人ひとりが「自分は社会に対してどのような価値を提供できるのか」というテーマに向き合う時代へと世の中が移り変わるなかで、これから社会に出る若者に求められることとは?■ とても変わった■ どちらかといえば変わった■ 特に変わっていないQ.新型コロナウイルス感染拡大の影響により、働き方の価値観は変わりましたか。(週1日以上在宅勤務)図1働き方の価値観変わった

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