キャリアガイダンスVol.446
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― かけてくれたことがきっかけでした。その結果、新たに主将になり目標としていた大会に出場することができました。そうした経験から、他者とは違う自分の存在に気づけたことが、その後のさまざまな選択の場面において、「自分はこう思う」と自信をもてる基盤になっています。仲井自分で決めた事実があれば、他責になりませんよね。実は私の他大学受験はうまくいかず、結局内部推薦で進学したのですが、充実した学生生活が送れたのは、自分がした選択の結果だったからです。もしそうでなければ、うまくいかないことがあるたび「あの時こうだったら!」とタラレバで考えてしまっていたかもしれません。大切なのは、自分で選択したという事実。なので、もし生徒が、首を傾げたくなる選択をしたとしても、頭ごなしに否定しないことと、「そうした選択の積み重ねによって、あなたはつくられているんだよ」って伝えることも大切だと思います。菅野選択が正しいかどうかなど、わかりませんからね。話は少し飛びますが、岩手県の高校には校歌・応援歌練習という伝統があります。先輩の厳しい指導の下、喉が枯れるまで全員で歌うのですが、ある生徒から、活動の見直しが提案されました。検討委員会において廃止を求める意見が多数を占めるなか、最終的な決断は、「校歌の練習は残す。けれど厳しい指導は行わない」に。どんな経緯があったかというと、発議者の生徒が校歌の意義を改めて調べたところ、熊本地震の際にコミュニティラジオで校歌のリクエストが多くあったことを知り、「自分にとっては否定的に感じられることが、誰かの心の支えになることもある」と気づきます。議論に新たな視点が生まれたのです。このエピソードを今回の対談のテーマに合わせると、こうでしょうか。社会では、「自分はこうしたい、だからあなたも認めてよ」とはいきません。自分はこうしたいけど、違う考えをもつ人もいる。では改めて自分はどうするべきか。その視点をもったとき、自分のありたい姿が浮かび上がると思うのです。なので社会と自分との視点の行き来がとても重要。マイプロジェクトも、周りの人との違いをぶつける体験を通じて、自分がどういう存在かを問う機会でもあるんです。ることも重要ですが、自分はどうありたいのかなど、内面を見つめ直すことが、進路指導では大切だと感じました。仲井たいか」というストレートな問いは高校生には高尚過ぎるのでは。大学生でも就活中、延々と「自分探し」をしてる人がいますが、あの迷路に入ってしまいそう。そもそも、問われると、答えをつくらなきゃって思考になると思います。菅野に代わり、「どうありたいか?」という新たな圧にしてはいけません。私としては先ほど話したことに加え、「自分はどういうときに喜び、違和感を覚えるか」ということを認識したり、「他者と違う視点をもっていていいんだ」と納得したりする。その時点で、ありたい姿が見え始めている気がします。仲井どんな人にも、自分の内側に受け容れ難い部分があると思うんです。考え方だったり、振る舞いだったり。本人がそれを変えたいと思っていて、こう変わりたいと思い描く理想像があるとしたら、それがありたい自分ではないでしょうか。そうした気づきを促すコミュニケーションが大事だと思います。菅野そう考えると、よく聞く「今のあなたでいていいんだよ」というフレーズは使い方に気をつけないといけませんね。今日までのあなたは肯定していても、そこから変わっていこうとするあなたまでは対象にしていませんから。言葉狩りになってはいけませんが、私個人は、変わろうとするあなたも、肯定する必要があると思っています。仲井確かにそうですね。最後、高校生には改めて、「将来について考えを巡らすことは大切だけど、行動あってこそ考えは深まる」と伝えたいです。まずは、動き、少しだけ外の世界に触れてみる。そうすることで自己理解の解像度を上げ、本当の「やりたいこと」を見つけてほしいし、それが変わっていく過程も含めて人生を楽しんでほしいです。自己に対する理解や気づきで浮かび上がる、ありたい姿今までのお話から、目標を見つけそう思います。ただ、「どうあり確かに「やりたいことは?」の圧19高校生向けメディアをつくるスタサプ編集部のメンバーは30代がメイン。高校生のトレンドを知るため、例えば最新のプリントシール機を編集メンバーと体験することも。「顔のデフォルト加工やプリ機のデザインからビジュアルのヒントを得て誌面のデザインに活かしています」と仲井編集長。受験期はメンバーの皆と合格祈願へ。(写真上)「自分のあり方」を見つめるキャリア選択2023 APR. Vol.446

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