キャリアガイダンスVol.446
27/66

「親はこう言っている、学校が紹介し 「早く決めて楽になりたい、と考えるた、学期ごとに面談を行い、3年生からは就職や進学を見据えた面談も丁寧に行っている。その面談の際に、キャリア教育部の佐恵先生や、4年主任の清家大雅先生は、生徒が「本当はどうしたいか」を確認することを大事にしているという。てくれたから、と彼ら彼女らなりに気を使い、なかなか本心を出せないことも多いのです」(佐藤先生)生徒もいます。ですが、今までの例でも、親や担任の顔色をうかがい、流されるままに決めた生徒は、結局続かないんです。最後の決定を自分以外にゆだねたので、うまくいかないと『親や先生のせいでこうなった』とどうしても責任転嫁したくなり、選択した道から降りてしまう。ですので、まずは生徒の思いを聴き出そうとしています」(清家先生)ではどうすれば生徒の本心に近づけるのか。佐藤先生は、普段の教科授業から「どうせ、という言葉を使う人にならないで」と意図的に言い続けている。自分の前では照れ隠しせず本音を出していい、と生徒に感じてほしいからだ。清家先生は「待つ」ことを重視している。「間違ったことでも曖昧なことでもいいから自分の思いを出してくれ」「親がどう思うか不安とか、悩みがあればそこは一緒に考える」と背中を押しながら。だが、待つといってもリミットはあるはずだ。もし卒業までに進路が決まらなかったらどうするのか。 「進路指導としては、支援の至らなさを反省したいと思います。ただ、卒業までに進路が決まらなかったとき、その生徒が人生すべてを否定されたような感覚になってしまうのは、違うと感じています」(清家先生)その思いは、生徒のキャリアシップに付き添い、地元企業の人たちと話を重ねるなかで強まったという。 「『経歴に空白のある子や、立ち上がれない期間があった子でも育てていきたい』と、地元の子に寄り添ってくださる企業も少なくなかったのです。生徒によっては『いつまでに決めないとダメだ』『選択を間違えてはいけない』と理想が高くなりすぎていることもあります。それだけに、こんな生き方もあるよね、と別の見方もできるようにし、『周りとの比較で自分を傷つけて終わる』ことがないようにしたいです。最後は『自分が自分を認めてあげられるかどうか』だと思うのです」(清家先生)キャリアシップや面談は「一朝一夕では成果が出ない」(佐藤先生)ものでもある。それでも回を重ねるほど、変化は生まれていくという。例えばキャリアシップに参加したある生徒は、アルバイトをした企業に就職することを決めた。彼がその選択に踏み出せたのは、2年近くバイトするなかで、適性に合った仕事をどんどん任せてもらえるようになり、「自分はこの会社に必要とされている」と実感できたからだった。1年生のときに働きたくないそぶりを見せていた生徒は、学年が上がるにつれ「家でコツコツやる仕事が向いていると思うからやりたい」と佐藤先生に相談できるようになった。企業見学などに挑むことにはまだためらいがあり、今はやりたいことに向かう次のステップを検討中だ。 「他人と比べてしまう自分をどうすればなおせますか」と質問してきた生徒もいる。佐藤先生は、自分も高校生のときにその葛藤を抱えていたことを伝えたうえで、でも自分の人生の主人公は自分であり、ならばどうありたいかを、話し合っている。 「高校生のときに悩みと向き合うことは、人生にとってプラスに働くこともあると思うのです。だから、今はある意味でチャンスなのだと捉え、本人が壁を乗り越えられるように支えたいと思っています」(佐藤先生)周りがどうかではなく本人がどうしたいかに迫る必要とされたことも悩んだことも糧にして27キャリアシップでは製造や介護など、一般のアルバイトでは経験しづらい仕事にもふれられる。就業実践中にトラブルが起きたときや、生徒がつらそうなときに、学校と企業が連携してフォローできる良さもある。1951年創立/普通科/生徒数153人(男子83人・女子70人)/4年ないし3年で卒業できる定時制高校。生徒一人ひとりに対するきめ細かな指導とキャリア教育を重視。令和3年度キャリア教育 文部科学大臣表彰 優良校受賞。「自分のあり方」を見つめるキャリア選択2023 APR. Vol.446       藤 左より、4年主任の清家大雅先生、キャリア教育部の上村耕平先生、佐藤 恵先生

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る