キャリアガイダンスVol.446
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岐阜県立吉城高校は、進学から就職まで、生徒のさまざまな進路希望に応えるために、複数のコースと多様な選択科目を備えた単位制高校だ。同校は2015年度より、校内にキャリア推進部を立ち上げて、「吉高地域キラメキ(YCK)プロジェクト」という取組を推進してきた。「地域を舞台に、自分はどうありたいのか、どう生きたいのか、自分のキャリアと切り離せない課題を発見し、解決していく力を身につける」ことを目標とする活動だ。キャリア推進部の谷口智康先生や近藤恵子先生は、その活動の魅力をこのように語る。「本校に赴任するまでは、『高校生の活動』といえば、勉強と部活動、生徒会活動を中心に考えていました。ですがこの学校では、地域のなかで生徒がチャレンジできる活動も本当にたくさんあるんです。そのなかで生徒が『やってみたら楽しかった』『難しかった』という新たな発見をすることも多く、『ではそれを踏まえて今後どうしたいのか』と、自分のあり方を見つめることにもつながっていくと感じています」(谷口先生)「生徒が地元の魅力や興味あるテーマを発見するだけでなく、その生徒自身が、学校にいるときとはまったく違う顔を見せることも少なくありません。授業中はいつも静かにしていた生徒が、地域の方々と楽しそうに話していたり。生徒の別の一面を知ることができるので、一人ひとりの進路を一緒に考えていくうえでも有意義だと思います」(近藤先生)具体的にはどんなことに取り組んでいるのか。例えば、1年生の総合的な探究の時間では、「進路探究」をテーマに、地域の大人と語り合う。保健師や酒造家、エンジニア、薬剤の研究者、ドローンパイロット、地域おこし協力隊など、社会人20名前後を招き、生徒が少人数に分かれて囲むという。この活動を牽引しているのがキャリア推進部の野道達也さんだ。「会は年2回開催し、2回目のときは講師の方に、これまでの人生のアップダウンを折れ線グラフで示したもの、いわば人生の転機が一目でわかるものも用意していただきます。それを基に生徒から質問もし、自分のキャリアをどう切り拓いていくかを一緒に語り合うのです」(野道さん)また、2年生の総合的な探究の時間や、学校設定科目「ESD 探究/国際理解探究」では、生徒たちが地域に出て課題解決に挑む。具体例をあげれば、郷土料理による地域活性、ご当地キャラの考案、地域の空き家の活用、外国人観光客も視野に入れたまちづくりなどだ。さらに土日や夏休みには、図1のような課外活動プログラムにも参加できる。市役所や地元のNPO法人と連携して開講しているもので、教育や福祉からまちづくりまで、幅広いジャンルの活動に挑めるのだ。もっとも、YCKの活動には課題もあった。ともすれば「活動あって学びなし」になりかねないことだ。プロジェクトに発足当初から関わってきた鈴木泰輔先生は、2021年に生徒および教員にアンケートを実施。すると、生徒の自己認識でも、教員の生徒に対する認識でも、「体験したことから視野を広げたり、学びを深めた地域課題りする部分はまだちょっと弱い」という結果が出たという。だから同校は、生徒たちが自分のなかにある思いを具体化していくことや、学んだことを言語化していくことにも力を入れてきた。学校外でも挑戦できる環境で知らなかった自分を発見する生徒の心が動いたところから課題解決に向かう学習に取材・文/松井大助課外活動プログラムや2年生の探究活動のなかには、飛騨市長が講師を務めるワークショップもある。市長が「自分にとっての理想のまちのあり方」を示し、その「理想」と「現実」のギャップを課題として捉え、解決策を一緒に考えるのだ。そのプロセスは、生徒が課題解決型学習に応用していく手法でもある。ほかにも、小学生の学習サポートや子ども食堂の手伝い、写真や俳句によるまちの活性化など、さまざまなプログラムが用意されている。         2023 APR. Vol.44628課外活動プログラム図1

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