キャリアガイダンスVol.446
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「例えば地域の探究活動は、課題発見から始めると、どうやって課題を見つければいいかわからず、自分がやりたくもない課題をひねり出してしまいがちです。そこで、まずは地域のなかで『自分が魅力を感じるもの』を発見し、それを持続・発展させるような『自分の理想』も思い描き、どうすればそれを実現できるか、というところから課題を見出す設計にしました(図2も参照)。また、生徒が『1年後に自分はどうありたいか』を思い描いてから活動に取り組むようにもしています」(鈴木先生)このほか、課外活動プログラムでも事前・事後に自分を振り返り、年度末に行う活動全体の報告会でも、この先の展望や、自分の成長まで言語化するように促している(図3)。取組を進めていくと、汎用的な資質・能力を測るテストの結果でも、生徒の「課題発見力」や「情報分析力」が、春先よりも年度末のほうが着実に高まるようになったという。自分が何を大切にし、どうありたいかを、進路と結びつけながら描けるよ      うになった生徒も増えている。ある生徒は、郷土料理に魅力を感じ、「今後も受け継がれるようにしたい」という課題意識から、得意のイラストを生かして地元の惣菜店や飲食店を紹介するパンフレットを制作。入学当初は美術の専門学校に興味をもっていたが、「情報やデザインの力で地域の魅力を発信したい」というより明確な思いを抱くようになり、大学の情報学部に進学した。また別の生徒は、課外活動プログラムで、「ヒダスケ!」という地元・飛騨市の「お助け」を「ワクワク」にする(楽しみながら助ける)取組に参加。「面白いのになぜみんな参加しないのか」という課題意識をもち、生徒へのアンケート調査から企画の立案・実施まで進め、10人以上も参加者を増やすことに成功した。しかしその過程で「人にアクションを起こしてもらうことの難しさ」も痛感し、だからこそ「公務員になって多様な立場の人と行動を共にしたい」と思うようになり、大学の法学部に進学した。そのように、「付け焼刃ではない思いが根を下ろしてきた」ことに、野々山伸一校長も手ごたえを感じている。「地域の活動を通して、生徒たちは多様な人から褒められ、認められることを経験し、『自分の良さってこれなのかな』と思える部分を発見してきました。そして『その自分にできることや、挑戦したいこと』まで見出す生徒が増えています。となると、進学や就職に向けた面接の指導などは行うにしても、下地はもうできているわけです。だから、志望先でやりたいことを突っ込んで問われても、急ごしらえの動機ではないので、ボロが出ることもなく、自分の思いをちゃんと話せます。自分のあり方や、自分のやりたいことを、自分の言葉で語れるだけのたくましさを培ってきた。そのことが、進路選択においても、社会に出てからも、本人の力になると思うのです」人との関わりを通して自分のあり方が定まっていく29「自分のあり方」を見つめるキャリア選択前列左より、地域創生キャリアプランナーの野道達也さん、キャリア推進部長の鈴木泰輔先生。後列左より、キャリア推進部の谷口智康先生、校長の野々山伸一先生、キャリア推進部の近藤恵子先生1948年創立/普通科・理数科/生徒数319人(男子155人・女子164人)/2020年度より、文部科学省の「地域との協働による高等学校教育改革推進事業(地域魅力化型)」の事業特例校の指定を受ける。2023 APR. Vol.446地域の探究活動では、SDGsにもふれていく。「地元の魅力の維持や発展を考えることは、持続可能な社会づくりにもつながり、学んだことはこの先どこで暮らすにしても生かせる」(鈴木先生)ことを感じてほしいからだ。課外活動プログラムの事前・事後学習に活用するワークシート。参加した理由から、活動中に意識することや、活動で得たものを言語化していく。野道さんが中心となって毎年のように改善を加えているという。全校で行う報告会に向けて活用するワークシート。背景や目的から、取り組んだ内容、結果、展望、自分の成長まで、活動を総合的に振り返る。※ダウンロードサイト:リクルート進学総研>> 刊行物>> キャリアガイダンス(Vol.446)探究活動のプロセス自己を見つけて言語化する工夫図2図3

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