キャリアガイダンスVol.446
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三川一時的な流行に乗って挫折したとし山崎三川山崎対応力や、コミュニケーション能力。三川山崎三川山崎先生は先ほど、卒業後の生徒さて、生徒さんはそのとき何を考えて、どのように対処するのでしょうね。社会は猛スピードで変わっているので、個人的なネットワークの中で仕事を探すなど、新しい働き方や仕事の見つけ方に挑戦するかもしれないですね。では、その変化する社会の中で、どんな力を生徒さんが身につけていれば、この先幸せに生きていけるでしょうか。そのお考え、もう少し詳しく聞いてみたいです。卒業生から聞いた話なのですが、就職した会社で良い成果を出せた生徒がいた。聞くと、自分の力ではなく先輩に助けてもらったからだというんですね。自分一人では乗り越えられない難題にぶつかったとき、人に相談したり、人の力や知恵をうまく借りたりできる人柄も、大切な力の一つ。誰かに助けてもらった経験があれば、次は他の人に手を差し伸べることもできる。いい循環になるだろうと思います。   んの人生にご自身が寄り添えないこと、自分の目から離れたところで、卒業した生徒さんが一人で挫折する可能性があることに不安を抱いていましたが、高校を卒業しても一人きりで生きていくわけではないのですよね。(気づき③ ▼)そうですね。働きながら周りの人たちに助けてもらうこともあるでしょう。そんな経験をすれば、次は生徒自身が困っている人に手を差し伸べられるかもしれません。仕事がうまくいこうが、挫折しようが、その生徒が経験することは、長い目で見れば無駄にはならないと思えてきました。失敗イコール人生の終わり、ではない。てもらって再び立ち上がり、それから新しい人生を歩み出してくれるのなら、それはそれで大事な経験になる。にいて、挫折して心が折れてしまう生徒たちも見てきたので、挫折を避ける傾向が自分にはありました。でも、挫折をきっかけに、人間関係の大切さに気づいたり、自分を支えてくれる存在と新たに出会えたりするかもしれない。そう考えると、生徒の話を聞くときに、その生徒だけでなく、生徒がどんな人たちと共に生きていきたいのかにも、目を向けてみたいと思います。「生徒は一人きりで生きていくわけではない」という言葉を聞いて、少しホッとするような気持ちになりました。社会に出て、生徒たちが新たな人間関係を築き、その中で支えられて生きていくのだという安心感。目の前の生徒のことばかり考えてしまい、視野が狭くなっていました。この対話で気づいたのが、自分が「教員の一言が、生徒の将来を変えてしまう」と生徒の人生を背負いすぎていたこと。三川先生に話しながら「教員の一言で生徒の『進路』が決まることがあっても、生徒の『人生』は決まらない」と思えたのは、自分にとって良い変化でした。生徒の周りにはさまざまな人がいて、複雑に作用し合いながら生徒の人生が形成されていく。たとえ失敗したとしても、すべてが経験となって人生は続いていくのだと感じられました。学校にきた推薦や求人の枠を利用した生徒が、早々に中退・退社してしまうと、翌年話がこなくなることもある。だから、来年の生徒のためにも「とにかく卒業してほしい」「長く勤めてほしい」と考えていました。でも、生徒主体で考えれば、途中で辞めて新しい人生に行くという決断も仕方のないことなんですよね。生徒の表現したいことや、どのように社会と関わろうとしているか、これからはもっと聞いてみたいです。教員がどんな言葉をかけるかは確かに重要ですが、もう少し肩の力を抜いて、生徒本人のことを信じてみようと思います。山崎三川 つまり、挫折したとしても、人に助け山崎 はい、そう思います。何年も教育現場三川先生との対話を終えて現場の先生が振り返る卒業生の話から考える本当に育てたい力とは気づき③ 対話の途中で私は、山崎先生が不安を感じない生徒さんの傾向について質問しました。元気で明るく、大学に進学する子は安心か? それはひょっとしたら過去の例から導いた、先生の思い込みかもしれない。この問いは同時に、山崎先生が不安を抱くことも実は思い込みなのではないかといった問いにつながっていきます。私たちは一定の思考の枠組みに沿って、これは安心、これは不安と判断していま392023 APR. Vol.446すが、社会も生徒も変化するなかで、その枠組みが本当に今、目の前の生徒に当てはまるのか、たびたび振り返っていく必要があるのではないでしょうか。今回のような対話を、カウンセリング領域では、私のような専門家のスーパーバイザーが事例をおもちのスーパーバイジー(今回は山崎先生)に行う「スーパービジョン」と呼びます。しかしスーパービジョンの形でなくとも、先生ご自身が進路指導を振り返り、「なぜこのとき不安になったのか」「不安の裏に、どんな自分の価値観や課題があるか」といったことをご自身に問い、考えてみるのはいかがでしょうか。自ずと生徒との対話も変わっていくかもしれません。

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