2020年の男女共学化と、それに伴う校名変更を機に、本校は大きく変わり始めています。 例えば、クラス担任を廃し学年担任制にしたのは、一人の生徒にチームで関わるため。一方でメンター制を導入し、生徒は年に2度、伴走者となる教員を自ら選びます。教員からすれば、日々の教育実践が生徒から問われることになり、生徒にとっては「仮に自分を甘やかす先生と伸ばす先生がいたら、どちらを希望するか」という選択を迫られることになります。全員がそうした意識に到達するには時間もかかりますが、制度が機能し始めたとき、学校の勢いはさらに加速するはずです。 また中学校では、フィールドワークを中心とした週6コマの探究学習"LEARNER'S TIME"を、高校では、外部から識者を招いた体験講座を含め、興味や進路にあわせて自ら学びをデザインする"ADVANCED SEMINAR"という選択授業を設けました。本校のある品川区は世界的な企業が集まる場所。視野を広げるなか、暫定的でもいいから夢中になれる何かを見つけてほしいという想いからです。それ品川翔英中学校・高校472023 APR. Vol.4461932年創立。2020年に男女共学化し、小野学園女子中学校・高校から現校名に改称。学年担任制・メンター制の導入、自由選択授業を含む新カリキュラム、定期考査の見直し、放課後を活用した個別最適な学習、自己調整学習など教育改革が進行中。今春、新中央校舎が竣工。が進路に直結する必要はありません。将来像を描きにくいこの時期の中高生は、ぬかるみに足を取られているようなもの。まずは、そこから抜け出す推進力が必要なのであり、その力は、ぬかるみを出た後、新たな道を切り拓くエネルギーにもなるでしょう。 2019年に本校に就任する以前、私は各地で学校改革や設立に関わってきました。しかし、その教師人生は順風満帆とは程遠いものでした。例えば2つ目の勤務校では、30代半ばで教頭に抜擢され改革を託されたものの、若さ故の強引さから年輩の先生方と衝突。学校を去ることになりました。大きな反省です。 その後、知人の飲食店の手伝いやダンプカーの運転手、経営コンサルティング会社の電話番など、職を転々とした時期もあります。そこで改めて気づかされたのは、学校の外にも学びはあるということです。飲食店では一流の接客とは何かを、工事現場では徹底した安全管理を、電話番ではセールスの心構えなどを学びました。社会あっての学校です。外部と繋がっていない学校は、ネットが遮断されたパソコンのようなもの。さまざまな人と関わり、刺激を受けてほしいという考えはLEARNER'S TIMEやADVANCED SEMINARにも活かされています。 同時に、こうした実践が独り歩きしないよう細心の注意も必要です。自分たちがしたことの成果は10年後でないとわからないのに、「最先端の教育手法を取り入れています」という宣伝や安心材料に留めてはいけません。 大切なのは地に足のついた教育活動、つまり日々の授業です。基礎基本の徹底はラグビー指導者時代からの私の信条。見た目よりも中身、派手なプレイよりも地道な努力、勝利よりも人間形成に力を入れてきました。古い考え方かもしれませんが、そこは教育の不易の部分として譲ることはできません。しばた・てつひこ/1961年生まれ。高校時代はラグビー福岡県代表。恩師の強い勧めで教職を志す。福岡教育大学卒業後、同大学附属福岡中学校常勤講師(保健体育科、社会科)。1986年中村学園三陽高校専任教諭。ラグビー部監督として後の日本代表選手などを輩出。30代半ばで教頭に抜擢され教育改革に尽力。一時期教職を退いた後、東京都の女子中高一貫教育校設立に関わる。愛知県の全寮制中等教育学校(教頭、事務長など)を経て、2019年に小野学園女子中学校・高校(現 品川翔英中学校・高校)副校長。2020年より現職。まとめ/堀水潤一 撮影/丸山 光学年担任制・メンター制や外部との連携で視野を広げる(東京・私立)教職から離れていた時期に学んだ多くの事
元のページ ../index.html#47