4なる力だ。もちろん、これらもキャリアを重ねながらより強化されていく面はあるが、養成期段階でこの土台をしっかりと形作ることが、教師となったあとに現場で学び続ける原動力となる。 「学校や教師に求められる役割が増えているため、それに対応できる人材を配置していきましょうということですね。それを学校内にとどめず、地域資源も活かしていこうというかたちで体制づくりが進められています」(銀島氏) ここで重要になるのは、個々の教師がいろいろな地域資源や専門家の役割や機能を理解すること。スクールカウンセラーやソーシャルワーカーといった専門家にはどのようなことが可能なのか、地域資源にはどのようなものがあるのかを教師自身がわかっていることで、適切な連携が図れるようになるからだ。その意味では、養成期段階においてもチーム学校の概念をしっかりと理解して教育を学ぶことが大切になる。 さて、ここまで見てきたように、社会の課題、および教育における課題が多様化・複雑化してきているなかで、教師に求められる資質・能力も高度化・多様化・複雑化してきている。将来、教師になることを志望している生徒は、このような力を身につけるため、進学先を選ぶ際には何を重視したらいいのだろうか。 一つには、教育学部で4年間、しっかりと教育学や先端的な教育課題について学ぶことの重要性が挙げられる。もちろん、短大や他学部の教職課程で教員免許を取得する道もあるが、教師としての土台の力を強固にすることを意識するなら4年制教育学部は第一の選択肢となる。ひとくちに教育学部といっても大学によって取得できる免許に違いがある。幼小連携、小中連携なども重視されるようになっている今、幼稚園・小学校、小学校・中高などの免許のダブル取得が目指せるかどうかといったことも進学先を検討する段階でしっかりと情報収集しておきたい。 また、教師としての土台の力を養うために重要と考えられるのが現場での学びだ。教員免許を取得するためには学校での教育実習が必須だが、それだけでなく、インターンシップなど現場で学べる機会が豊富にある大学であれば、リアルな現場の課題、多くの教師の生の授業、多様な子どもとの、あるいは学内外でのコミュニケーションなどに関して、実地で体験しながら学ぶことができる。このような経験が、総合的な人間力や教職への情熱を高めていくことにもつながる。そのため、さまざまな学校との連携体制や実習の豊富さなども重要なチェックポイントの一つだ。 教師を志望する高校生のなかには、「教師にはなりたいが、どの免許がいいのかはまだ決まっていない」という人もいるはず。実際、現場を知る前に免許の種類を決めるのは人によっては難しい。その場合には、進学後、ある程度教育について学んでから取得する免許を選べ、キャリアに関してじっくり検討する余地のある大学なども選択肢に入るだろう。図3スクールサポーター、NPO法人などの地域支援者スポーツ団体など地域サービス学校児童相談所などの教育委員会、警察、公的機関医療機関「チーム学校」のイメージ図解 次にポイントになるのが、④の多様な知識・経験を持つ人材との連携の強化だ。ここで注目されるのが「チーム学校」という考え方。前述のように、教育現場の課題は多様化・複雑化している。不登校、いじめ、保護者対応などの問題が増加すると同時に、それらに対応する教師の負担が重くなりすぎている問題などもある。 チーム学校とは、これらを解決するために、教師一人が問題を抱え込むのではなく、学校内のそれぞれの分野の専門家、学校外の地域の専門機関・専門家などが連携・協力する体制のこと。図3で示したように、学校内では、校長・教頭がチーム学校全体のマネジメントを担い、担任、学年主任、養護教諭、スクールカウンセラー、学校司書などの専門家がそれぞれの専門性を活かして生徒と向き合い、生徒の学びや成長、問題などに対応していく。学校外では、スクールサポーターやNPOなどの地域支援者、教育委員会や警察、児童相談所などの公的機関、医療機関、スポーツ団体なども学校と連携を取り、協力して児童生徒を支援する。もちろん、今までも学校と地域との連携は図られていたが、情報共有や協力体制をより明確に、強固にしていこうという取組だ。 2016年に公表された「『次世代の学校・地域』創生プラン」では、学校外に地域住民や保護者、NPOなどで組織された地域学校共同本部を置き、地域コーディネーターと呼ばれる人たちが連携の中核を担う教職員とつながって学校と地域を結びつけていくというモデルが示されている。校長学校司書スクールソーシャルワーカーVol.446 別冊特集教頭学年主任担任生徒養護教諭スクールカウンセラー
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