るなかで、どれが自分に合っているのかというところまではなかなか判断しきれません。教育現場に関する知識もまだありませんから、それも当然のことです」図21年次インターンシップⅠ・Ⅱの教員が指導にあたり、学生はそれぞれの特色を理解することができる。この過程を経て、1セメスターの終わりに進路を仮決定し、1年次の後半(2セメスター)は、一部専門の学びをスタートしながら、自分の道をしっかりと定め、1年次の終わりに選修を最終決定する。 「この進路選択のプロセスでは、私たち教員が学生の希望も聞きながらしっかりとサポートします」 また、中学・高校の理科・数学の免許を教育学部で取得することにも大きな価値があるという。 「教育学部では、今の学校教育が抱えるさまざまな課題、子どもたちの特性など、教員としての基盤となる知識を幅広く身につけることができます。今は教育現場の課題も複雑化・多様化していますし、授業の中でも、科目横断的な指導が必要になっています。教員に求められる専門性の幅も広がっていますから、教育学部で学ぶことの意味は大きいと思います」 学部の専門性の幅を広げることに関しては、例えば、「理科クロスカリキュラム研究」「地域と生活の科学」といった複数の分野を融合した科目を設置し、1つの事象をさまざまな角度から2年次3年次4年次1年次から現場実習を経験できる「教師力」養成システムハロースクール・ハローナーサリー1年次の冬学期に行う半日の実習。小学校・中学校・保育園で授業を参観し、子どもたちと触れ合って気づきを得る機会となる。 教育学部では、以前から小学校教育コースの中に同じように2年次からプログラム選択ができる制度を設けていたが、その仕組みを拡大した形だ。このように段階を追って、学びながら自分の未来像を明確にし、目標を絞り込める“ゆるやかな進路選択”が可能になったことで、学生はミスマッチの確率を減らせる。 メリットはそれだけではない。 「先生になるための学びは決して楽ではありません。しかし、1年次にさまざまな授業や私たち学部の教員、現場の先生方からの話を通して、教職に必要なものは何か、自分はそのためにどれだけのことを学ばなければならないのかを理解し、そのうえで自分の目標を時間をかけて決めることができれば、目標そのものがしっかりとしたものになり、苦しいときにも乗り越える力になるはずです」 具体的には、1年次の前半(1セメスター)に「学校教育入門」という科目を設置。この授業ではさまざまな学校種6Vol.446 別冊特集小・中学校や幼稚園などで実施されるインターンシップ。児童や生徒に対しての理解を深めて、モチベーションを高める。教育実習・インターンシップⅢ3年次は、教育実習およびインターンシップⅢを実施。教員として必要な実践的指導力などを身につけていく。教育採用試験にむけて教員採用試験対策の総括として「思考力・判断力養成講座」「教採直前対策講座」を実施。自主勉強グループでも対策を進める。多面的に捉え、探究的な学びの指導力を養成する。なお、このような分野横断的な学びは、新設される文学部でも学科横断型のクロスオーバー・ラーニングとして導入されている。 また、教員としての専門性の幅を広げるために、免許のダブル取得をバックアップする体制も整っている。 「学生のなりたい教師像に応じて、例えば、小中高連携を意識して、中学・高校理科+小学校といったプランを奨めることもあります。特別支援学校の免許とのダブル取得というケースも多いですね。実際に多くの学生はダブル取得を目指して学んでいます」 もう一つ、四天王寺大学教育学部の大きな強みとなっているのが、実践学習の豊富さだ(図2)。1年次から現場に触れる機会があり(ハロースクール)、3年次の教育実習以外のインターンシップも充実。2年次は必修、さらに卒業まで、希望により実践体験を積むことができる。教員としての実践力を養う意味でも、最先端の教育現場の課題を知るうえでも、この実践重視のカリキュラムがもつメリットは大きい。 次世代の教員育成のために「伝統+改革」によって特色ある教育を提供する四天王寺大学教育学部。今後、同学部がどのような教員を輩出していくのか、期待は高まるばかりだ。
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