キャリアガイダンスVol.447
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grown iitake Japanese mushroom」から「mushroom」に変えました。forest‐ 杉本商店は祖父の代から続く干し椎茸問屋です。地元の生産者さん約600件から、森林の中で原木栽培された良質な椎茸を買い取り、世界に販売しています。海外進出を考え始めたのは2016年ごろ。国内需要が縮小するなか、同じ量を売り続けようとすると価格を下げるしかありません。しかし、それは絶対にやってはだめなんです。なぜなら、そうすると馴染みの生産者さんからの買い取り価格も下げざるを得ず、彼らの暮らしを守ることができなくなるからです。1円でも高く買ってくれるところを見つけようと、目を向けたのが海外です。世界の人口は増加しているから、いずれ食糧不足になり、安全で健康に良い食品は奪い合いになるのではないか。そう仮説を立て、世界中の富裕層に買ってもらおうと考えました。海外進出にあたってさまざまな施策を行ってきました。その一つは海外の食品展示会への出展です。現地には僕が行かざるを得ないんですが、僕の英語はひどいもので、平気で動詞を3つ並べちゃうレベル。まあそれでもなんとかなるんですよ。聞かれるのは椎茸のことだけで、誰も「国際情勢についてどう思うか」なんて聞いたりしませんから。とはいえ、やっぱり英語は大事です。世界中どこへ行っても英語は通じます。英語をその他の言語にする部分は自動翻訳に任せるにしても、まずは英語で伝えることができるだけで、コミュニケーションの対象は一気に広がります。その重要性に40歳を過ぎて気づき、オンライン英会話スクールで勉強を始めました。最初のころは毎日レッスンを受け、苦戦していた文法の勉強には途中で見切りをつけました。実践ではぶっちゃけ文法なんてどうでもいいんですよ。ちゃんと伝えたいことがあれば、相手は聞く耳を立てて聞いてくれますから。それより、黙り込まないようにするのが大事です。使わないと言葉が出てこなくなるので、今も週一ペースでレッスンを続けています。相変わらず今もひどい英語です。それでも、自分たちの商品は、自分たちで伝えなければと思っています。重要なのは、英語を話すことではなく、何を伝えるかという本質。ガチャガチャな文法だけど、一生懸命話していると、商品の魅力は伝わるんです。通訳を介したら、たぶん半分ぐらいしか伝わらないでしょうね。今の時代、人の心を動かすには、「驚き」と「感動」しかないと思います。僕は年に何回も、アメリカやドバイ、インドなど海外の展示会やイベントに行きますが、いつも椎茸のかぶり物を着用します。周りのブースでは雛壇に商品をきれいに陳列しているなか、うちは椎茸栽培する光景の写真がドーンとあって、その前に椎茸を被った僕が立っている。みんな立ち止まって写真を撮りだします。そこですかさず椎茸を試食してもらうと、「わぁすごい」「こんなものがあったのか!」といとも簡単にお財布を開けるんですよ。つまり、かぶり物は「驚き」、試食の椎茸は「感動」を与えるんです。その「驚き」と「感動」をつなぐの          が、「言葉」ではないでしょうか。最初はどう説明するといいかわからないんですが、トライ&エラーを繰り返すなかで、やけに〝刺さる〟キーshワードが出てくるんです。例えば、リーとして刺さることを現場で感じで補い、生産者さんから変わらず買い取ることができています。生産者でくれています。今後も「安心してたいですね。椎茸の英語表現は「森林で育った椎茸の魅力が、ストーたからです。今、21カ国に輸出するようになりました。国内の落ち込みを海外さんは「そうか、俺が作った椎茸が海を渡ったか」とめちゃくちゃ喜ん生産してくださいね」と言っていき生産者の暮らしを守るため海外進出を決断コミュニケーションを広げる英語の必要性を痛感刺さる言葉でつなぐ「驚き」と「感動」が心を動かす17インドの巨大市場をにらみ、在インド日本国大使館にて椎茸の魅力を伝える杉本さん(写真は杉本商店提供)。つながるための「言葉」を獲得する2023 JUL. Vol.447

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