日本のウェブサービス会社でエンジニアをしています。チームの公用語は英語で、多くの海外出身者と共に働いています。私は日本生まれ日本育ち。学生時代は英語が得意でなく、特に興味もありませんでした。意識が変わったのは、転職活動でいろいろ企業研究をしたとき。長く活躍している女性エンジニアの多くが外資系企業在籍であると気づき、「女性として、このまま日本語圏にとどまっていたら私のキャリアはいつか頭打ちになるかもしれない」との危機感から、英語の勉強を始めました。ただし転職後、「女性として」という考えは打ち消されることに…。転職先である今の会社は、会社の急成長によってエンジニア不足が深刻化するなか、早くからベトナム人を「日本語を話せる」という条件で採用していました。21年には「日本語」の条件を撤廃し、世界中からの人材獲得に乗り出しています。それに伴い、24年度中の開発部門全体の公用語英語化を掲げ、英語化実践組織を段階的に広げている最中。うちの会社に限らず、海外採用の拡大によって多様な国籍の人がチームとなる職場は増えていくでしょう。もはや男女関係なく、これからのエンジニアには英語力が必要なのでは。そう考え、英語の勉強に一層力が入るようになりました。先行実施チームが発足することになり、「チャンス!」と飛びつきました。それまでも英語を使う仕事は積極的に取りにいっていましたが、より厳しい環境で自分を鍛えたいと思ったからです。会議はもちろん、相談やチャットのやりとりなど、仕事上のコミュニケーションはほぼ英語だけ。そこで経験を積んできたことは、キャリアに対する安心感に。定年まで同じ会社とは限らない時代、未来の選択の幅が確実に広がった思いです。誤解しないでほしいのですが、私たちは職場で、ネイティブのような流暢さや、美しい表現が求められているわけではありません。社内で推奨されているのは、シンプルな英語「グロービッシュ」。海外にも英語を第一言語としない人は多いので、必要なことを平易な表現でわかりやすく伝えることが重要なのです。最近、中高生時代の愛読書『十二国記』*の中に、何度も読み返すシーンがあります。言葉の通じない国に迷い込んだ少女が魔法のような力で言葉を獲得したとき、こんな忠告を受けます。「言葉が通じるからといって、互いの考えていることが分かるというものでもない」「必要なのは相手の意を汲む努力をすること」。当時はこの意味がわからなかったのですが、今ならわかります。例え翻訳ツールで正確な文章が作れても、相手の知識や求めを踏まえて伝える努力をしないと、伝わらない。今後もそれを忘れずにコミュニケーションしていきたいです。日本語圏でのキャリアへの閉塞感から英語漬けの環境へ平易な英語でいい。正確さより、伝える努力が必要将来の危機感から英語環境に突入。相手の意を汲む努力こそ大切と知る21年秋、英語化の第一歩として *『十二国記』小野不由美/新潮社日本語圏にとどまっていてはキャリアが頭打ちになるとの危機感。共通言語をもつだけでは不足。伝える努力の大切さを痛感。キャリアの選択の幅が広がり、安心感につながった。同じチームで働くベトナム人のエンジニアと。「非ネイティブ同士が意思疎通するための英語として、発音や文法の正しさは重要ではない」エンジニア西村由佳里さん(株)マネーフォワード小学生のころ自作PCに夢中になりエンジニアの道へ。2019年、家計簿アプリなどを手がける(株)マネーフォワードに転職。21年、職場の完全英語化を先行実施するチームへ異動。現在も英語環境で活躍中。#学びのキッカケ#変化・気づき#楽しさ・喜び2023 JUL. Vol.44718
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