キャリアガイダンスVol.447
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isclosureself-人と場を共有した際、英語が苦手という理由で、うつ向いていては、関係性が深まらないどころか、本心とは異なるメッセージを相手に与えかねません。反対に、「言葉」を介すことで、人と人は、より深い関係性を築くことができます。英語で繊細なニュアンスまで伝えられるようになり、「これを言ったら失礼になる」といったことまでわかってくると、異なる文化をもつ人間同士でも、関係はより深まっていくでしょう。もちろん、母語ではないため、       d   英語で会話をすると、言いたいことがうまく伝えられないもどかしさも感じます。そうした感覚は、反対の立場に置かれた人に思いをはせることにもつながります。来日して日が浅い留学生はもちろん、日本に定住しながらも日本語を不自由にしている人は大勢います。そうした人たちが日々感じている、言いたいことをうまく表現できない辛さは、英語でうまく意思を伝えられない辛さと同じはずです。「つながり」という点で言えば、ICTの普及によって世界中の人とつながることが可能になりました。私の趣味は釣りですが、日本にいながらYouTubeにアップされる世界中の釣り動画を楽しんでいますし、SNSを通じて米国の釣り仲間とも交流しています。英会話の学習も、趣味から入るといいでしょう。野球好きならばメジャーリーグのサイトを閲覧するなど、好きなことや得意なことから始めてみる。専門的な知識があるため、わからない言葉が出てきても類推できますし、何より、楽しみながら学べます。その際、頭の中で日本語に訳さず、英語を英語のまま理解し、話すことに慣れることが上達への近道です。学校の授業に関して言えば、大切なのは、教室の中に「学び合う関係性」がつくられていること。「この先生になら、言いたいことを言える」「この仲間に対してならば発言できる」という信頼関係があり、安心して自己開示(を伴う学習には欠かせません。そうした環境がある前提でお勧めしたいのは、4技能5領域を統合した学習でもある「ディベート」です。よく「うちの生徒に英語でのディベートなんて無理」と言われますが、学習指導要領で同じく明示されている「ディスカッション」よりも易しいと思います。ディスカッションは、みんなの前で自分の意見を表明しなくてはいけないため、多感な時期にある高校生にはハードルが高いかもしれません。一方、ディベートでは、自分の考えをさらけ出す必要はありませんし、論題が与えられるうえ、肯定側・否定側と立場)できることが、会話が決まっているので気が楽です。本心では否定側の立場であると感じている論題に、敢えて肯定側の立場で考えることで、これまでなかったモノの見方ができ、新しい自分に気づくこともあるでしょう。論題も、初めのうちは「制服廃止」など軽めのもので十分です。安楽死合法化や死刑廃止など、生徒によっては難解で関心をもてないテーマを選んでしまうと失敗の素。とはいえ、ディベートには話す内容に関する理解が求められるため、他教科の学びにもつながります。結局のところ、英文が理解できるかどうかは、内容についてある程度の知識があるかどうかとの関係性が強いと思います。本を読み、時事ニュースに触れ、人の話を聞くことで、物事を多面的に考えられるようになるし、読解力も高まります。他教科で学ぶことすべてが生きるのが英語の時間です。英語を中心としたクロスカリキュラムができる可能性もあるでしょう。人間らしい豊かな知的活動をするためには、他者との関わりが欠かせません。日本語しかできない人と比べ、外国語を操ることができる人は、さまざまな情報や考え方を吸収しやすくなり、世界観が広がります。世界の広さを知る一方で、人はそんなには違わないことも実感するはずです。几帳面な人もいるし、いい加減な人もいる。良い人もいれば、嘘つきもいる。世界のどこでも同じです。表面的には異なる国民性に見えても、根っこは一緒であることにも気づくでしょう。例えば、日本人が海外に駐在する場合、家族を残して単身赴任するケースが多いですが、現地の人は「なぜ家族を連れてこないんだ。愛していないのか」と不思議がります。でも、子育てや受験のことを考えると日本に残した方が子どもの幸せになると判断しているケースもあります。家族を愛しているからこそ、片や一緒に暮らすし、片や離れる選択をする。そうした背景まで含め、きちんと説明できる力があれば、人はもっとわかり合えるし、関係性はより深まっていくことでしょう。趣味から始める英会話英語ディベートにも期待多様であることを知り、同じであることも知る23国際色豊かな東京国際大学キャンパス(埼玉県川越市)には、留学生の出身国の国旗が並ぶ。つながるための「言葉」を獲得する2023 JUL. Vol.447取材・文/堀水潤一 撮影/丸山 光(22ページ)

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