キャリアガイダンスVol.447
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既に卒業している生徒なのですが、今も「もっと良いアドバイスができたのでは」と引きずっている生徒がいます。高3から担任として受け持つことになった、生徒Bさん。4月に面談すると、このように言いました。増本先生追手門学院大学心理学部教授進路指導の場面で悩む場面、ふと立ち止まる瞬間があっても、立場上、なかなか率直に相談できる相手がいなくて、お困りの先生方も多いはずです。カウンセリングの領域では、カウンセラーが自身の担当する個別のケースについて、熟練した指導者と対話し、自身のカウンセリングの過程や問題点を振り返ることで、より良いカウンセリングのあり方を模索する手法があります※。この連載ではキャリア・カウンセリングの専門家である三川先生と現場の先生方の対話を通じて、現場の先生ご自身が「より良い進路指導のあり方」を考えていく様子をレポートします。※「スーパービジョン」という手法。事例をもつカウンセラー(スーパーバイジー)と指導者(スーパーバイザー)で行う。何を聞いても「やりたいことはない」と答えた生徒。「今すぐ就職するほどの覚悟はないので大学には行きたい。行ったらなんとかなる気がする」と意志のなさそうな様子を前に、「この状態では、私のひと言が彼女の一生を左右してしまいそうだ」と悩みました。結局、得意な科目を伸ばして受験できる大学をいくつか紹介し、無事に進学したものの、あのとき、もっと良い指導ができたのではと考えてしまいます。37高3の生徒Bさん興味がある学部もない?…ひとまずあなたが得意な科目を生かして受験できそうな大学を、一緒に選ぼうか。2023 JUL. Vol.447取材・文/塚田智恵美撮影/平野 愛追手門学院大学心理学部教授。カウンセリング心理学専攻。大阪大学大学院人間科学研究科博士前期課程修了(学術修士)。スーパーバイザーなどとして活躍。2023年5月まで日本キャリア・カウンセリング学会で理事・SV委員長を務めた。 監修&アドバイス三川俊樹先生私立の中高一貫校 クラス担任 増本先生(仮名) 50代前半次ページではこのケースについて、三川先生と対話していただきました。やりたいことがないし、勉強する意味もわかりません。でも、とりあえず、大学には行きたいです。親は「有名な大学に進学したほうがいい」と言うのですが…。

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