キャリアガイダンスVol.447
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さまざまな課題に取り組むグループ活動を取り入れている学校も多いと聞きます。漠然と取り組むのではなく、活動の意図やゴールを明確にしてから活動を始めることを大事にしている学校もあるでしょう。でも意図やゴールの明確化というと、仰々しくて難しく感じる生徒さんもいるはずです。慌ただしく過ぎていく毎日のなかで「なんのために今からこの仕事をやるんだっけ?」とわざわざ考えたり、言葉にしたりする人はあまりいないかもしれません。ける前にこんな問いを考えてみることにし最近は「総合的な探究の授業」などで、ところで、大人の場合はどうでしょう。でも僕は、できるだけ、毎日仕事に出かています。「今日の中継で何ができたらハッピーかな?」。僕は今、全国のニュース現場から生中継を行っています。その現場に行く前に今日のゴールを考えてみるのです。例えば「今日は、この特産品のおいしさを伝えられたらハッピーだ」「今日の取材に協力してくださる農家の〇〇さんが喜んでくれるような内容にできたら、ハッピーだ」など、できるだけ具体的に、あまり力まずに、自然な言葉にしてみます。ある日は「今日はカメラマンの△△さんの誕生日だから、△△さんが『今日は最高の撮影ができた!』と誇れるような中継にできたらハッピーだ」なんて考える日もあります。一緒に働く人たちが楽しく仕事をできるのも、立派なゴールのひとつです。そして、こうして考えたゴールはできるだけ言葉にして、中継チームのメンバーに伝えて、すり合わせをするようにしています。「今日は、今が旬のスイカのおいしさをできるだけ伝えられたらハッピーですね!」。この程度の易しい言葉で表現したゴールでも、中継に関わるメンバーの目線を揃えることができて、その日の中継がスムーズになったり、より良い議論ができるようになったりするのです。ゴールを言語化し、チームのみんなですり合わせる目的は、コミュニケーションの摩擦が起きたときのためでもあります。どれだけ一生懸命仕事に取り組んでいても、ミスが起きてしまうことはあります。例えば、ちょっとした行き違いが原因で、僕ら中継チームが取材先の方に伝えなけれ過渡期にある教育現場で、新たな「学力」として育成が求められている「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」。多様な人と協働するために欠かせないのがコミュニケーション能力です。ただし、社会に出て実践の場で求められるコミュニケーション能力は、生徒のイメージとは少し異なるかもしれません。一体、コミュニケーションってなんだ? 連載します。ぜひ生徒と一緒に「コミュニケーション」の正体を考えてみてください。報道番組で週5日、さまざまな現場を取材し生中継を行う木村拓也さんのお考えを、2回にわたって何ができたらハッピー?小さなミスを大きくしない        きむら・たくや●2013年フジテレビ入社。情報・報道番組を中心に担当。『みんなのニュース』のコーナー「上を向いて歩こう!」では、全国で1000回以上の生中継を経験。現在は「Live Newsイット!」アクティブキャスターとして、現場から毎日生中継。TCS認定プロフェッショナルコーチを取得。取材・文/塚田智恵美 イラスト/桔川シン2023 JUL. Vol.44744

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